京都府亀岡市には「燃やすしかないごみ」の日がある!? ごみの名前が変わると、ごみの量は減るの?
川や海のごみは、まちが増やしていると気づいた
――そもそも、亀岡市はどうして環境問題に力を入れるようになったのですか? 亀岡市には観光名所の保津川があり、渓谷をめぐるトロッコ列車や川下りなどが有名です。ところが、訪れた外国人などに「保津川はごみだらけじゃないか」という声があり、川下りの船頭さんがごみ掃除を始めたのがきっかけです。それが市民活動としても広がりました。ところが、いっときはきれいになった川は、雨が降るとまた元通りのごみだらけになってしまうのです。 その後、2012年に「第10回海ごみサミット2012亀岡保津川会議」の会場となったことが大きな転機となり、環境への取り組みが加速しました。海ごみサミットと言いながら、亀岡市には海がありません。けれど、保津川から発信機を流して調査したところ、約80km離れた大阪湾までたった1日でごみが流れていることがわかりました。 内陸部のまちから減らしていかないと、川や海のごみはなくならないと認識したんです。川を掃除してもごみがなくならないという違和感から、「わたしたちのまちからごみをなくしていくんだ」という意識へと変わりました。そして、2018年には「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を行いました。現在の桂川市長は、職員時代から亀岡市が環境先進都市となるよう力を入れており、政策の「見える化」を推進しています。
アップサイクルの商品づくりや、散歩しながらのゴミ拾い活動も
――環境問題を取り組むことを楽しめるようなアイデアはありますか? 亀岡市の芸術家さんのアイデアにより、HOZUBAG(ホズバッグ)という商品が生まれました。これは使用済のパラグライダーの生地をアップサイクルしてつくられたバッグ。行政でエコバッグを調達して配布してもあまり持つ気になってもらえませんが、アップサイクルのおしゃれなカバンだったらどうだろう、それも一過性のワークショップで終わらせずにきちんと商品にして販売をしよう、という流れになりました。 ここまでくると行政の手からは離れていきますが、カバンが売れると収益につながり、新たな雇用も生まれます。アートの視点を取り入れることで、環境と経済がうまくマッチするのだなと知りました。 他にも、亀岡市が募集する「エコウォーカー」に登録して、お散歩中についでに(義務でなく)ごみ拾いするというような活動をしている方もいます。 環境問題に関する取り組みは、どうしても「これはやめましょう」という内容が多くて、あまり楽しくないですよね。しかし、ご家族で楽しめる活動に組み込むことができれば、良い形で継続できるのではと思っています。
取材・文/日下淳子 構成/HugKum編集部