「神様のおかげでこの会社に」OB訪問で出会った信者…「一歩間違ったら誰でも」新興宗教勧誘の罠
「なんでこの問題が日本でこんなにはびこっているんだろうと憤りを感じます」
いわゆる「親ガチャ」に恵まれ、何不自由なく育ったように見える平田さん。なぜ宗教にハマったのか。 「私はもともとタフですが、協調性がないとはずっと言われてきて、それで就活で落ち続けたら、弱くなってしまった。 そしたら、逆に家族が強くなって、家族のおかげで私も強くなれたんです。 でも、取材で2世の方々の話を聞くと、あまりに壮絶なので、家族に恵まれている私が撮っていいのかなとも思いました。 2世のほうがずっと大変だと思います。2世は脱会すると、家族を捨てさせられる人もいるから。 私も家族を捨てろと言われたら、絶対脱会できていなかったし。宗教2世として活動してる人で、何も犠牲にしてない人はいないです。命か家族を失ってる。これが私が見てきた宗教2世の現実です。 なんでこの問題が日本でこんなにはびこっているんだろうと憤りを感じます。みんな税金とか汚染の問題とかいろいろ言うけど、いやいや待ってよ、まずカルトだろうと」 ところで、映画では宗教1世の恵と2世のすずのほか、祖父母という存在が印象的に描かれている。祖父母をキーパーソンとして置いたのはなぜかと聞くと、こんな思いを語ってくれた。 「宗教2世の方でメンタルを病んでいる人はすごく多いけど、その中で自死を選ばなかった理由を聞いていくと、おじいちゃんおばあちゃんが優しかったとか、すごく多いんですよ。 そういう救いの存在がある人は、苦しみながらも人生をちゃんと取り戻している。逆に今もずっと苦しんでいるのは、誰も助けてくれなかった人が多い気がしました。 それですずにも祖父母の存在が必要だと思いました。平和な祖父母像にしたのは、新興宗教に入信する子が生まれないような家庭にするためでした。 すごく幸せそうな家庭でも、一歩間違ったらカルトに入るんだよと伝えたかったから。 あのおじいちゃんおばあちゃんは、私の両親を参考に書きました。だから、私の両親そっくりなんです」 恵まれた家庭に育っても、自己肯定感が高くとも、ふとしたスキに宗教は入り込んでくるーー実体験を伴うリアルさに、思わず背筋が寒くなった。 取材・文:田幸和歌子
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