武藤敬司氏がノアのスカウティングアドバイザーに就任。有望選手獲得のカギはビッグマネーとプロレス界の構造改革
昨年2月にプロレスを引退した武藤敬司氏が5月16日、プロレスリング・ノアの「スカウティングアドバイザー」に就任した。 この日は株式会社サイバーエージェントが都内でプロレス事業に関する記者発表会を開催。同社の執行役員副社長を務めている岡本保朗氏がプロレス事業の業務管理を一本化している「株式会社CyberFight」の新社長に就任することが発表された。ノアは2020年2月にサイバーエージェントグループ入りし、CyberFightに所属している。 会見ではCyberFightのノア担当取締役の武田有弘氏が武藤氏がノアのスカウティングアドバイザーに就任することを発表した。 途中から会見に参加した武藤氏は「引退して1年と3カ月。改めてまたプロレスの仕事に関われてうれしく思う。今、あらゆる企業が優秀な人材を欲しがって、初任給を上げている中、プロレス界もその流れには逆らえないんじゃないかと思っている。まだ岡本社長とは具体的な話をしていないが、ここは3年後、5年後を見越した予算を出してほしいと思っている」といきなり岡本新社長に要望。そして「プロレス界もオカダカズチカとかは一説によると3年で20億円とか夢のある世界。これを聞いている若者がいたら、この門を叩いてみたらどうでしょうか。以上です」とプロレスラーを目指す若者に呼びかけた。
また「俺も20年くらい前に当時斬新だった武藤塾というオーディションをやり、その中で今いろいろな団体でトップになっている選手を育てた実績があるが、それも20数年前の話」と前置きしたうえで「これからは新しい形。もしかしたら予算をちらつかせる(笑)」と金銭的な部分での魅力の必要性と「あとはプロレス界の慣習というか。いまだにプロレス界って寿司屋の職人のような、背中を見て学ばないといけないというような風習がある。今ではナンセンスなそういうシステムから変えたほうがいいんじゃないかと思う。あとはグローバル。日本人だけにとらわれず、海外からも募集し、こっちからも獲りに行けたらいいんじゃないかと思っている」などとプロレス界の構造改革の必要性にも言及した。 岡本新社長は会見では「やはりプロレスラーが一番重要。そういった未来のスター選手を自分たちで発掘していくということも丁寧にやっていきたい」と新人発掘を重要ポイントに挙げ、会見後の取材では「武藤さんはいろいろないい選手を育ててこられているので、選手を見極めるポイントとか、また実際に映像を見ていただいて“この選手はいいんじゃないか”といったアドバイスもいただこうかなと思っている」と武藤氏の手腕に期待した。 また今年はパリ五輪が開催されるのだが、オリンピアンといった大物のスカウティングについても「可能性はゼロではないと思います。団体のスカウトのチームでいろいろ議論していただきたいと思っています」などとも語っている。