「シーピー カンパニー」デザイナー2人の野心 幅広い層の心をつかむ機能美と革新性
「全てが着想源。それらをどう昇華していくか」
ーー機能性と同時に、生地開発や染色技術もブランドの不可欠要素ですが、デザインありきなのか、もしくは逆か。完成までのプロセスを教えてください。
ハーヴェイ:生地先行のデザイン思索とデザイン先行の生地選択、そのどちらのアプローチもあり得る。
プンジェッティ:コレクション全体のバランスで考えており、どちらかといえば生地先行が多いかもしれない。ただ、アイテムのデザインを入口に私たちからテキスタイルサプライヤーに開発を依頼することも多々ある。逆に、彼らが新しい生地を開発したらすぐに提案してくれるし、どんな生地が欲しいかも逐一聞いてくれるんだ。彼らもチームの一員として行動を共にしている感覚に近い。
ーー提案された生地からアイテムのアイデアが生まれることもある?
プンジェッティ:生地や素材だけでなく、技術、体験、他のブランドの洋服、ユニホームなど、全てが着想源さ。それらをどうイノベーティブなアイテムに昇華していくかが、「シーピー カンパニー」の考え方だ。
ハーヴェイ:「シーピー カンパニー」にルールはない。基本的に、常にイノベーティブなアイテムを生み出したい欲望があるんだ。
ーー着想源というと、他ブランドの多くはシーズンごとに映画や音楽、旅など、明確なテーマを設けてコレクションを制作しますよね。
ハーヴェイ:われわれもシーズンごとにコレクションを発表しているから、同様の発想で制作することはできるけど、実行には移さないと思う。
ーーでは、数多くの生地や加工の中で気に入っているものはありますか?
プンジェッティ:あまりにも多すぎるからな……。あえて挙げるとするならば、泥染加工の“ティントテラ(Tinto Terra)”だ(注:土を原料とした天然色素を利用し、素材に虹色の光沢を与える加工法)。
ハーヴェイ:いろいろな生地と技術を組み合わせているから難しいが、われわれの「ゴアテックス」の使い方は面白いと思っている(注:世界で初めて同素材のガーメントダイを成功させている)。