「日本は限りない可能性を秘めた国」元内閣官房参与・加藤康子氏が示す、日本が目指すべき「ものづくりのあり方」
元内閣官房参与で一般財団法人産業遺産国民会議専務理事の加藤康子氏が3月31日、ニッポン放送の特別番組「加藤康子TALK RADIO」に出演、エネルギー問題を軸に、日本が目指すべき「ものづくりのあり方」についての考えを示した。
同番組は、日本が目指すべきものづくりのあり方、エネルギー問題や環境問題について、リスナーと一緒に考えていく30分のプログラム。このなかで加藤氏は、まず「日本の基幹産業、自動車産業や鉄鋼というものは、優れた世界一の技術を持ってると思います」と語り、幕末から明治の産業日本の勃興や戦後の日本の産業の復興を振り返りながら、「ものづくりの未来にもその産業史が生かされたらいいなと思っています」と述べた。 そして、その「ものづくり」を支えるエネルギー政策の課題と提言について加藤氏は、次のように示した。 森田耕次(ニッポン放送):日本では2030年度に温室効果ガスの排出量を、2013年度に比べて46%削減する。そのための目標としてエネルギー基本計画がつくられています。国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画が、見直しに入るということで、これから大きな問題、焦点になってきそうですね。 加藤:国民の未来を決める上で、国家の成長を描く上で、このエネルギー政策というのは一番重要な政策だと思います。 森田:今のエネルギー基本計画は、3年前の秋に閣議決定されまして、次の計画づくりに向けた議論というのはこの春にも行われるのではないかと言われてます。今のエネルギー基本計画での、2030年までの電源構成を見ると、再生エネルギーを増やしている。これを36~38%にしていこう。そして原子力発電は20~22%に、火力発電は減らしていって41%にしよう、というのが今の計画ですよね。 加藤:はい。エネルギー基本計画というものを各国でつくるわけですが、いかにして安定的に安価な電力をいかに国民に供給していくかということです。その上で、このエネルギー基本計画を見て民間企業もここで産業活動をしようかどうしようかということを決めますので、十分な電力がないと困るわけですね。3E(エネルギーの安定供給 Energy Security/経済効率性の向上 Economic Efficiency/環境への適合 Environment)とS(安全性/Safety)を基本にエネルギー基本計画を作っていくのですが、(現在の)第6次エネルギー基本計画では、その環境の「脱炭素」の点で、温室効果ガス削減46%を達成するためにどうすればいいのかということで、随分「再エネ(再生可能エネルギー)」にシフトした案が出されたんですね。 森田:そうすると、諸外国では、この脱炭素の目標ということではなくて、今おっしゃられた安定的、そして安いこのエネルギーをどうやって作り出すかということがこの計画になってるわけなんですね。 加藤:そうです。やはり電力なくして国家の成長もなければ、国民の安定した暮らしもないわけなので、最初に政府が考えることは、自国の民をどういうふうに守っていくのか、それから自国の経済をどうやって成長させるのか、そういうことを基準に考えます。ですから、気候変動の目標を定量的にエネルギー基本計画と合わせるという国は、世界中、欧米諸国でどこもありません。今、日本だけが、気候変動のおぼろげながら浮かんだ46%、これをエネルギー基本計画に織り込んでいろいろと頑張ってらっしゃるというところだと思います。 森田:そうすると、国民が払う電気料金なんてことは考えていないということですから。 加藤:そうですね。でもまたこれから、再エネ賦課金がさらに重たくのしかかってきてですね……