【朝日杯FS】ニタモノドウシ、1週前とはガラリ一変の豪快な動き ムーア騎手「HAPPY!」
<追い切りの番人> 朝日杯FS(G1、芝1600メートル、15日=京都)の最終追い切りが11日、東西トレセンで行われた。調教を深掘りする「追い切りの番人」は井上力心(よしきよ)記者がデビューから2連勝中のニタモノドウシ(牡、高木、父ディーマジェスティ)を取り上げる。最終追い切りには初コンビのムーア騎手が駆けつけ、名手に「HAPPY!」とうならせる豪快な動きを披露。ここを逆算して時間をかけて丹念に乗り込まれ、心身ともに上昇をたどる。 ◇ ◇ ◇ 世界のムーアを背にしたニタモノドウシに1段上のスイッチが入った。苦手なウッドチップに脚を取られ、もたつき気味だった1週前とはガラリ一変。荒れた時間帯の馬場をものともせず、軸のブレないバランスの取れたフォームを持続させた。 前肢を豪快にかき込む自慢のフットワークで外オウギノカナメ(古馬2勝クラス)、内トゥルーサクセサー(古馬1勝クラス)を相手に3頭併せの真ん中で余裕の併入。馬なりで5ハロン68秒7-11秒7を計時した。ムーア騎手は開口一番、「HAPPY!」と満足げ。「動きはすごく良かった。グッドコンディション」とうなずいた。高木師も「操縦性と反応だけ確かめてもらった。ジョッキーも満足してくれて良かったですね。何の問題もなく来ています」と自信を深めていた。 クローバー賞快勝後はここ一本に目標を定めて放牧。10月末に帰厩後は坂路、ウッドを併用し、週2本ずつの追い切りを順調にこなしてきた。順調にきたからこそ、最終追い切りにムーア騎手を乗せることができたのでは…。師は「早めに帰厩させてテンションを上げないように調整してきました。馬房で暴れる面も解消し、伸びも出て体つきは競走馬らしくなってきている。2戦目でグッと変わって大人になりましたね」と確かな成長に目を細める。 福島の新馬戦も札幌の2戦目も現地で取材した。デビュー前からダイナミックなフットワークだったが、さらに体をうまく使えるようになり、推進力が格段に増した印象だ。「ばね、瞬発力があるし、掛かるところがなく我慢が利く。フットワークもいい馬ですね」。師の口からもセールスポイントが流ちょうに出てくる。確かな手応えをつかんだ名手ムーアとニタモノドウシ、◎の有力候補だと思っている。 ◆ムーア騎手と朝日杯FS 3度騎乗し、13年アジアエクスプレス1着、14年ペプチドウォヘッド18着、19年サリオス1着。アジアエクスプレスはオキザリス賞に続く継続騎乗。ペプチドウォヘッドは完全なテン乗りで、サリオスは2週前追い切りに騎乗していた。最終追い切りでコンタクトを取ったことは大きな意味がある。