判断遅れ継投ミス…「3本柱」欠いた報徳学園の誤算 センバツ
◇センバツ高校野球最終日(1日)決勝 ○山梨学院7―3報徳学園(兵庫)● 好事魔多し。報徳学園にとって、一瞬の判断の遅れが命取りとなった。 【山梨学院vs報徳学園の熱戦を写真で】 先発の右腕・間木歩はテンポが抜群だった。四回まで1安打とほぼ完璧な投球。ただ、あまりにも出来が良すぎたのだ。 2点リードで迎えた五回。1死から四球を与えると、突如歯車が狂い始めた。8番・林謙吾に二塁打を浴び、続く9番・伊藤光輝に同点適時打を許した。 慌ててベンチから右腕・今朝丸裕喜がブルペンへ向かった。しかし、その間も相手の勢いは止まらない。計5連打で大量失点し、ようやく今朝丸がマウンドに上がった。 今朝丸は「抑えなければと焦る気持ちは正直あった」と勢いにのまれた。2死とした後、5番・佐仲大輝を追い込んでから、外角を狙った直球が真ん中への失投となり、左越え2ランを浴びた。あまりにも大きい7点目。大角健二監督は「継投のタイミングを誤った。流れが向こうにいってしまった」と悔やんだ。 報徳学園は準決勝まで全て継投で勝ち上がってきた。誤算だったのはエース・盛田智矢を起用できなかったこと。盛田は今大会は本調子でなく、準決勝の大阪桐蔭戦で三回途中4失点でKOされた。大角監督は「フォームを崩している」と決勝での登板回避を決めていた。自慢の「3本柱」から1人少ない間木、今朝丸の2人でつなぐ想定が、決断を鈍らせた。 最後に崩れたとはいえ、今大会、終盤の逆転劇を可能にしたのは投手陣の粘りがあったからこそ。今朝丸は「良い経験になった。夏に自分がエースを取りにいくという気持ちで練習したい」。苦い経験を成長につなげる。【生野貴紀】