豪州リーディングサイアーは3季連続アイアムインヴィンシブル 産駒の収得賞金は歴代最高を更新
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】 ◆今年20歳でも種付け料は約2745万円を予定 7月31日に行われた開催をもって、オーストラリアにおける2023/2024年シーズンが終了。ヤラマンパークで供用されているアイアムインヴィンシブルがリーディングサイアーとなった。 同馬のリーディングは、これで3シーズン連続のことになる。産駒の合計収得賞金3216万2170豪ドルは、1シーズンの数字としては歴代最高で、2位のズースターに800万豪ドル以上の差をつける圧勝だった。 稼ぎ頭は、短距離路線の女王インペラトリスだ。5歳だった昨シーズンは8戦。前半戦は、G1モイアS(芝1000m)、G1マニカトS(芝1200m)、G1チャンピオンズスプリント(芝1200m)という3つのG1を含む無敗の4連勝をマーク。後半戦は無敗というわけにはいかなかったが、G1ブラックキャビアライトニングS(芝1000m)、G1ウィリアムリードS(芝1200m)と、さらに2つのG1制覇を重ね、シーズンで526万2825万豪ドルを収得した。 アイアムインヴィンシブルは今年、20歳となったが、目前に迫った種付けシーズンを万全の体調で迎えようとしている。同馬の今年の種付け料は、27万5千豪ドル(=約2745万円)が予定されている。 2023/2024年のオーストラリアにおける2歳リーディングは、ユーロンスタッドで繋養されているリトゥンタイクーンだった。 同馬の2歳リーディングは、15/16年シーズンに続き、2度目のことだ。ちなみに20/21年には総合リーディングも獲得しているのが、リトゥンタイクーンである。 同馬を2度目の2歳リーディングに押し上げた原動力は、レディオブキャメロットだ。G.ウォーターハウスとA.ボットが共同経営する厩舎から昨年9月30日にデビュー。初戦を落とした後に立て直しを図られて、4か月ぶりの復帰戦として陣営が選択したのが、2月3日にローズヒルガーデンズで行われたG3ウィデンS(芝1100m)だった。レディオブキャメロットはここを制し、重賞で初勝利。続くG1ブルーダイヤモンドS(芝1200m)は2着惜敗に終わったが、続いて出走した豪州の2歳戦では最高峰に位置付けられるG1ゴールデンスリッパーS(芝1200m)を制し、G1初制覇を果たした。続くG2キースマッケイハンデキャップ(芝1200m)は、勝ち馬より4キロ重い斤量を背負わされて2着となり、2歳シーズンを終えている。 リトゥンタイクーンは、22歳を迎えた今シーズンも、種付けを行う予定だ。ただし、年齢を考慮して種付け料はプライベートとなっている。 ちなみに、リトゥンタイクーンと同じユーロンスタッドで、南半球における初めての種付けシーズンを迎えるのが、日本からシャトルされたパンサラッサだ。ユーロンスタッドのホームページには、オーストラリアで供用された、過去最も高額な賞金を獲得した馬として紹介されている。 そして、2023/2024年のフレッシュマンサイアーチャンピオンは、イギリスからシャトルされてダーレー・オーストラリアで供用されていた、トゥーダーンホットだった。 18年の欧州最優秀2歳牡馬で、21年にニューマーケットのダルハムホールスタッドで種牡馬入りした同馬。北半球における初年度産駒が2歳となった23年、イギリスとアイルランドの数字を合算したフレッシュマンサイアーランキングでは、ブルーポイントに次ぐ2位だった。 ちなみに日本でも、GIIフィリーズレビュー(芝1400m)勝ち馬エトヴプレ(牝3)が出現している。北半球における最初の種付けシーズンが終わると、オーストラリアに渡り、南半球における最初の種付けシーズンを過ごしたトゥーダーンホット。北半球では次点に泣いたフレッシュマンサイアーチャンピオンの座に、オーストラリアで就くことになった。 稼ぎ頭は、J.カミングス厩舎のブロードサイディングだ。デビューしたのは今年2月で、4戦目となったランドウィック競馬場のLRファーンヒルマイル(芝1600m)で初勝利をあげると、快進撃がスタート。続くランドウイックのG1シャンペンS(芝1600m)、イーグルファーム競馬場のG2サイアーズプロデュースS(芝1400m)、同じくイーグルファーム競馬場のG1J.J.アトキンス(芝1600m)をすべて制し、4連勝で2歳シーズンを締めくくっている。 トゥーダーンホットは、今年はシャトルを行わず、来春の北半球の種付けシーズンに向けて、英気を養っている。 (文=合田直弘)