兵庫県警察本部＝神戸市中央区

　阪神水道企業団（神戸市東灘区）が発注した浄水場の補修工事を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された猪名川浄水場管理事務所の主査の男（４６）が贈賄側の業者に不正な入札を持ちかけ、工事の予算額を事前に漏らした疑いがあることが１９日、捜査関係者らへの取材で分かった。漏えいされた予算額は、業者が有利な金額で落札するために使われたとみられ、兵庫県警は経緯を調べている。 【写真】収賄容疑の主査、別工事の見積書も受領か 　問題となっているのは、企業団が９月上旬に実施した尼崎浄水場（尼崎市）内の舗装補修工事。条件付き一般競争入札に参加した５社のうち、４社は５００万円台を提示し、下限額に当たる「最低制限価格」（６２６万９千円）を下回り失格となった。一方、贈賄容疑で逮捕された男（５２）が役員を務める土木工事会社「金山組」（尼崎市）だけが同価格を上回る６５９万８千円で落札した。 　企業団などによると、この工事を含む特定の入札前には、企業団があらかじめ予算額を概算した上で業者３社に見積もりを依頼。最も低い見積額を入札の予定価格に設定している。 　捜査関係者らによると、役員の男の説明などで、主査の男が予算額を漏らし、３社分の見積書の用意を依頼した疑いが浮上。金山組の調整で、同社は予算額（７００万円）に近い６９８万円、他の２社が７００万円以上を提示したといい、予算額以下の金山組の見積額が入札予定価格に採用されていた。 　県警は、予算額に近い同社の見積額を入札予定価格にさせ、高値で落札できるようにしたとみて、今回の入札に至る２人の関係性についても調べている。 　県警によると、主査の男は金山組が受注できるように便宜を図った見返りに、役員の男から現金２０万円を受け取った疑いが持たれている。