築200年の古民家からガラス戸をもらった話 - 音羽山観音寺後藤住職の花だより
奈良県桜井市にある音羽山観音寺。藤原鎌足公が梅の木で作った観音像をまつったことが始まりと伝わる、由緒あるお寺です。後藤密榮住職は平成元年にこの寺に入り、それから寺を守り続けています。 [写真]信者さんの家からもらってきたというガラス戸
秋雨の降る10月初めの取材日。なかなか庭に出ることもできず、無量庵のいつもの場所で住職と話が弾み、昔の話も聞きました。 無量庵とは、今は宿泊客が泊まったりする部屋として使われていますが、部屋の外側にある、記者がいつも話を聞く場所は、住職がこの寺に来た時にはなかったそうです。 「昭和43年ごろに釣鐘堂の屋根を修復して、無量庵を建てたみたいね」 今は四季折々の花が咲いている住職の庭も、サツキやツバキがあっただけのようです。 「今オサムがいるあたりには、キンモクセイがあったかしら」 無量庵も当時は平屋建てだったとのこと。住職がこの寺に来た後、平成8年に無量庵の2階や縁側を広げる工事が行われたそうです。こんなに山奥での工事はさぞ大変だったでしょう。 「ここのガラス戸ももらってきたのよ」と住職。いつも座って話を聞くすぐ横にあるガラス戸のことです。建物とすっかりなじんでいて、違和感はまったくありません。
「ちょうど建て替えの時、大阪の信者さんが築200年の家を建て替えようと思っていると言ってたのを思い出したの。まだ古い家は置いたままになってるって」 思い立って連絡すると、その築200年の古民家をあと1週間で壊す予定とのこと。どのように運んだのか、まったく想像もできませんが、4tトラックで運んだそうです。 「その信者さん、昔の家のものは何もなくなったけど、ここに来たらあるって喜んでくれて。何度もお参りに来てくれたわ」 ガラス戸も、新しい場所で使い続けられて喜んでいることでしょう。教えてもらってよく見ると、確かに少しサイズ調整をした跡もありますが、大阪の古民家からやってきたガラス戸は、今はしっかり観音寺の風景になっています。 音羽山観音寺 山の中にある尼寺。桜井市南音羽。 JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。 火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門