ラグビー大学選手権決勝の5000人超え有観客試合実施決定に賛否…「全国高校大会決勝は無観客なのに…」
新設された国立競技場でラグビーの試合が組まれるのは2度目となる。早稲田が45-35で猛追してきた明治を振り切り、11年ぶり16度目の優勝を果たした昨年1月11日の全国大学選手権決勝には、実に5万7345人もの大観衆が詰めかけた。岩渕専務理事は約1年前の反省点をJRFUが得た知見と位置づけ、新型コロナウイルス感染予防対策のキーポイントとしてあげている。 「特にトイレやコンコースに大勢のお客さんが溜まってしまう状況と、スタジアムへの入場時と退場時にどうしても混雑する状況には強い危機感をもって認識しています。私たちにとっては2度目の(国立競技場での)試合になるので、スタッフがかなり現場をチェックし、緊急事態宣言が出る前から対策も十分に練ってきました。選手たちや関係者のなかでのゾーニングや動線の切り分けといったものを、事前の周知を含めて可能な限り徹底して万全を期していきたい」 当然ながら場内ではアルコール類の販売を取りやめ、スタッフを増員するなどして、入場者の持ち込みを管理・禁止する方法も検討している。試合後には友人同士などで会食には行かず、すみやかに帰路につく呼びかけを徹底していくことで、岩渕専務理事は「ラグビーそのものを楽しんでいただいて、ぜひとも次に繋げていきたい」と、大学選手権決勝を今後への試金石としたいという青写真を描く。 次とは16日に開幕するトップリーグとなる。例えば同じ国立競技場で行われる東芝対NTTコムで販売されている、約2万枚の前売りチケットに対しても大学選手権決勝と同じく政府見解が適用されるからだ。もちろん感染状況がさらに悪化し、政府や自治体の指針や要請が変わればそれを遵守することが大前提になると岩渕専務理事は明言したが、ネット上の反応は一様に冷ややかだ。 賛成意見としては、「6万8000人の収容人員に対して1万7000人ならば密にはならない」、「マスクを着用して屋外で観戦すれば何の問題もないことをこの1年で学んだ」、あるいは「スポーツ観戦でクラスターが発生しないのは実証済み」という意見はある。 しかし、これらはあくまでも少数。 大半が反対意見で、「何のための緊急事態宣言なのか」という素朴な疑問とともに、開催するならば無観客か5000人で、と求めている。飲食店が午後8時までの時短営業を要請され、各地の成人式が中止になる状況と相まって、曖昧な基準が「若い世代への誤ったメッセージになる」といった苦言も見られる。