観光シーズン混雑する京都が苦手な人へ 優雅で特別な旅ができるのはいつ?
京都観光のおすすめの季節はいつ?
私が考える京都観光のベストシーズンは桜の季節でも紅葉の季節というわけでもありません。敢えてこの時期を外すことでさらに京都の良さを楽しめる季節は他にあると思います。それは新緑の季節と冬の京都です。 5月の連休が終わった後の京都は本当に緑が美しいのです。京都は三方を山に囲まれていますし、町中にもいたるところに緑がありますから、それらが新芽を吹く時の美しさというものはちょっと言葉では言い表せないくらいです。もちろん春から初夏にかけての気候も最高です。桜の時期はややもすればまだ少し寒い場合がありますが、5月の連休後ともなれば本当に心地よい空気を味わうことができます。それに桜の時期が終わると観光客もぐっと減りますから静かに美しい緑の京都を味わうことができるのです。 左京区の岩倉というところに実相院というお寺があります。ここは磨き込まれた黒い床板に紅葉が美しく映り込むことで「床もみじ」として有名なところです。この床もみじも美しいのですが、新緑の季節の外の木々が映り込む「床みどり」も負けず劣らず美しいものです。敢えて桜の季節を外すことで、ゆったりと美しい京都を味わうことができるというのが連休後に京都を訪れることをおススメする理由です。
冬の京都は寒いけれど“特別”に出合える
そしてもう一つのおすすめ時期は冬の京都、それも1~2月にかけてです。ところがこの季節がベストだということに異論を唱える方は多いかもしれません。なぜなら京都の冬は底冷えしてとても寒いと言われているからです。確かに寒いことは事実です。ただ、いくら寒いと言ってもずっと外を歩き回るのであればともかく、点から点への移動であれば電車やバス、場合によってはタクシーなどを使いますから、ずっと寒いところにいるというわけではありません。 それに寒ければ使い捨てカイロを利用することである程度の寒さは防ぐことが可能です。何よりもこの季節は観光客が少ないというのが最大のメリットです。しかもこの時期は「京都冬の旅」(2017年1月1日~3月20日)といって、いくつかの寺社で、通常は非公開の文化財や仏像が特別公開されていて拝観することができるのです。ちなみに来年2017年の「京都冬の旅」は二条城で行われた「大政奉還150年」がテーマで、幕末ゆかりの寺院(西福寺、壬生寺・狂言堂、妙心寺・大雄院など)などでふだんは非公開の文化財の特別公開が予定されています。 言うまでもなく京都は四季折々の風情があり、どの時期が一番良いとは必ずしも言えません。ただ、現状はあまりにも多くの人が春の桜と秋の紅葉の季節に集中して京都を訪れ、大混雑しています。少し時期をずらして、初夏と冬に訪れるというのは、それなりの京都の楽しみ方を味わえるでしょう。多くの観光客のいない京都というのは新たな京都の魅力を発見できるのではないでしょうか。 【連載】おとなが楽しむ京都(経済コラムニスト 大江英樹)