バーリ氏ら著名投資家が示唆、中国株の「全部買い」局面は終了
(ブルームバーグ): 世界的に著名な投資家2人は、中国株が全面的に上昇する局面が終了しつつある可能性を示唆している。
資産家でマネーマネジャーのデービッド・テッパー氏は、7-9月(第3四半期)に中国のアリババグループと上場投資信託(ETF)「iシェアーズ中国大型株ETF」へのエクスポージャーを縮小した。同氏は9月に「あらゆる」中国関連株を買い増していると明らかにして話題になっていた。ただ、同氏が報告した株式ポートフォリオでの中国株全体の保有比率は38%と、4-6月(第2四半期)の26%から上昇した。
ヘッジファンド運用者マイケル・バーリ氏は、アリババなど中国株への投資を増やしたが、同時に下落リスクをヘッジするため、新たなプットオプション(売る権利)も追加したことが14日提出された株式保有報告書(フォーム13)で明らかになった。同氏はマイケル・ルイス氏のベストセラー「世紀の空売り」で取り上げられて一躍有名になった人物。
テッパー氏とバーリ氏のポジションは、両氏が中国株に対して強気な姿勢を維持しながらも、市場の一部で利益を確定もしくは潜在的な損失を限定する意向があることも示唆している。
中国本土株の指標、CSI300指数は9月下旬から10月上旬までの10営業日で35%上昇した後、ほぼ横ばいで推移している。中国当局の財政刺激策の規模に対する失望が広がり、景気支援策の可能性を巡る投資家の熱狂は消え去った。また、トランプ前大統領の返り咲きに伴う米中対立激化を巡る懸念も中国株の重しとなっている。
ソロモンズ・グループのアジア太平洋投資・ESG(環境・社会・企業統治)担当ディレクター、アンディー・ウォン氏は「テッパー氏とバーリ氏のポートフォリオ調整は、中国株投資へのより選別的なアプローチを示唆している」と指摘。「幅広い『全部買い』戦略はもはや通用しないかもしれないが、ファンダメンタルズ底入れでポテンシャルが比較的高い一部企業に重点を置く両氏の姿勢は、今後一段と重要になるだろう」と述べた。