EV新時代の第3戦予定だったヘルシンボリ港湾地区ラウンドが急きょ2025年に開催延期へ/STCC
新開発BEV(バッテリーEV)車両により、華々しく新時代の幕開けを迎えたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権だが、この8月末に予定されていたヘルシンボリ港湾地区での“Head 2 Head(ヘッズ・トゥ・ヘッズ)”戦を、急きょ「2025年に延期する」と発表。その代替として、9月開催のクヌットストープ戦で追加ラウンドに置き換えることをアナウンスした。 【写真】第2戦で印象的なSTCCデビューを果たした19歳の新鋭ジョナサン・エングストロム シリーズ肝入りで開発を進めた共通電動キットのサプライ問題に端を発し、昨季2023年度のチャンピオンシップ中止も経験した新生STCCは、この6月にもヨーテボリ市街地の特設トラックにてエレクトリック時代が幕を開けた。 その開幕戦では、世界規模のイベントである『レース・オブ・チャンピオンズ(RoC)』に倣い、エリミネーション方式で2台のドライバーが同時に対戦する“ヘッズ・トゥ・ヘッズ”のフォーマットを導入したが、同月末にはユンビヘッド・モートルバナにて通常のヒートレースも開催されるなど、ここまで2会場で計4戦を実施してきた。 それに続き、第3ラウンドとして第5-6戦のダブルヘッダーを予定していたヘルシンボリ港湾地区のストリート戦だったが、オーガナイザーとの協議の結果、今季は開催されないことが確定し、代わりに9月13~14日に開催されるクヌットストープにて、週末2日間で計4レース以上が実施されるタイトなスケジュールが編成された。 「残念ながら、今季のヘルシンボリでのレース計画と準備に関しては、実用的な解決策を見つけることができなかった。だが2025年と2026年に向け、引き続き彼らと強力な協力関係を築けたことをうれしく思っている」と語るのは、前戦で"代打参戦"も果たしたシリーズCEOのミュッケ・ベルン。 「2024年にヘルシンボリ市街の中心部でレースを開催できない場合、状況を最大限に活用して、ヘルシンボリからクヌットストープまで人々を送迎するしかなさそうだ」と続けたベルンCEO。 「当初計画により、多くのパートナーとスポンサーがこの週末にヘルシンボリ市街での宿泊施設と活動を提供する。STCCは間違いなく市内で目立つ存在となり、活動的な状況となるだろう」 ■19歳の新鋭にふたたび参戦のチャンス!? すでに現地でのチケット販売が開始されていた影響もあり、STCCのシリーズ運営側はヘルシンボリからクヌットストープまで無料の交通手段を提供。また、市街地戦での併催イベントに関しては、払い戻しやクヌットストープ戦観戦券への振替対応に応じる、としている。 「現在リング・クヌットストープと協力して、観客が2倍のレース(クアドラブル・ヘッダー)を観戦できるイベントに向け準備を進めている。この解決策を可能にしてくれたリング・クヌットストープとヘルシンボリの組織に、改めての感謝を捧げたいと思っている」とベルンCEOは続けた。 重ねてSTCCの運営側は、来季2025年に向けさらにふたつの「スウェーデン主要都市」と協議中であることも明かし、電動ツーリングカーのショーケースとして最適な「ストリートレースの開催地を増強したい」との意向も示している。 一方、怪我の欠場や助っ人招集が相次いだ第2戦ユンビヘッド・モートルバナにて、印象的なSTCCデビューを果たした19歳の新鋭ジョナサン・エングストロムは、最小限の準備にもかかわらず表彰台を獲得した実績も考慮され、さらなる参戦計画について「チーム側と協議中」だと明かした。 経験豊富な元STCCドライバー、トーマス・エングストロムの息子であり、週末はエクシオン・レーシングの『BMW i4』をドライブしたジョナサンは、レース2のスタート時に発生した混乱にも乗じて、そのまま3位表彰台のポジションを守り抜いた。 「こうして突如のSTCCデビューを果たし、すぐにパフォーマンスを発揮する機会が得られたことを本当にうれしく、感謝している」と続けたエングストロム。 「残念ながら予選で技術的な問題が発生して自分の速さを見せられなかったけれど、チームは週末を通して信じられないほどプロフェッショナルで、レースで可能な限り最高のコンディションを作ろうと懸命に働いてくれた」 「父がレースに出ていた時代から、これまで何度もSTCCのレースを観戦したことがあるけれど、そのたびにスタートで何かが起こるのは分かっていた。今回も目の前でマルチアクシデントが展開するのを見て、そこで3位をキープできたのは本当に良かったよ。もちろんSTCCでレースを続けたいとは思っているけど、今のところそれ以上のことは何も明かせないね」 [オートスポーツweb 2024年07月22日]