韓国中小企業の49%「為替リスク管理できず」…原材料輸入会社が厳しい状況に
弾劾政局によるウォン相場下落で原材料を輸入する韓国の中小企業には厳しい状況となった。外貨で代金を払う輸入品価格が上がったためだ。中小企業は為替相場変動にともなうリスク管理能力が落ち、より致命的という指摘が出る。 中小企業界によると、海外から原材料を輸入する中小企業の間で、為替相場の負担を耐えるのが難しいという声が出ている。京畿道抱川(キョンギド・ポチョン)で木製家具業者を運営するイさんは「中国と東南アジアから原木や合板などの木材を輸入するが、為替相場が10~20ウォン上がるだけで決済代金が数千万ウォンずつ増える」と話した。イさんは「毎月必要な分だけ調達してきた。為替相場が安定するまで輸入を中断することもできない。不動産景気が良くなく売り上げが減っていたが、今年は赤字を免れるのが難しそうだ」と話した。 12月3日の非常戒厳事態後に政治的混乱が続きウォン相場は急激に落ちた。27日のソウル外国為替市場でウォン相場は昼間の終値基準で1ドル=1467.50ウォンとなり、昼間の終値基準で今年最安値を記録した。統計庁によると昨年基準で海外から原材料などを輸入した韓国企業は21万7615社、輸入規模は6358億ドルに達する。 為替相場変動にともなう中小企業への影響は関連調査でも確認される。中小企業中央会が10~13日に全国の輸出中小企業513社を対象に調査した結果によると、調査対象企業の57.9%はウォン安が経営環境に否定的な影響を及ぼしたと答えた。国内政治状況の不確実性により直接的・間接的影響を受けたのかを問う項目には調査対象企業の26.3%が損害を受けたと答えた。具体的な影響は「契約遅延・取り消しなど」が47.4%、「海外からの問い合わせ増加」が23.7%、「受注・発注の遅延・取り消しなど」が23.0%などだった。 京畿道で検査測定設備を生産するAさんは中小企業中央会に「非常戒厳事態前日の2日に送り状を受け取り原材料決済代金を準備していたが、1日で為替相場が大きく上がり費用をさらに負担することになった」と話した。慶尚北道漆谷郡(キョンサンブクド・チルゴクグン)で製造業者を運営するBさんは「ウォン相場が下がる傾向を見せると海外の取引企業が契約を延期して契約条件を有利にしようとしている。契約を終えるために尻に火がついた状況」と話した。 ウォン下落にともなう影響は大企業より中小企業で大きくなるほかない。中小企業は為替リスク管理能力が劣るだけでなく財務的条件も弱いためだ。中小ベンチャー企業研究院が9月に発表した「中小企業の為替リクス分析研究」によると、ドルに対しウォンが1%下がると中小企業の売り上げは0.36%減ることが明らかになった。昨年の中小企業中央会の調査では韓国の輸出企業の49.3%が為替リスクを特に管理していないことが明らかになった。中小ベンチャー企業研究院のソン・ヨンチョル研究委員は「中小企業は為替リスクに対する理解が低く専従人材が不足しており大企業よりリスクに大きくさらされる可能性が高い」と話した。 専門家らはウォン安が当分続くだろうと予想する。漢陽(ハニャン)大学経済学部のハ・ジュンギョン教授は「米国の強いドルと韓国の政治的不安が重なりウォン相場が大幅に低下した。為替相場を防衛するため外国為替市場にいくら介入しても政治的リーダーシップが安定するまではウォン相場が安定するのは難しいだろう」と予想した。