超長期債に吹く三つの逆風-財政拡張と円安リスク、利上げ待ちの生保
日銀の利上げを待っているのが生命保険会社だ。日本証券業協会が公表した9月の公社債店頭売買高によると、生損保の超長期債の買越額は2401億円。前年度平均を下回るペースだ。
10年金利は1.4%想定
日本生命保険が想定する2024年度末の10年金利は1.4%で、足元の水準(10月31日時点で0.935%付近)はこれを大きく下回る。都築彰執行役員財務企画部長は17日の運用説明会で「市場は利上げを思ったほど織り込んでおらず、金利は少し低い」と指摘。下期は利上げの織り込みが進み、金利水準が「良いところではしっかり買い入れ、低い場合は少し見送る」と話した。
住友生命保険の30年債利回りの年度末想定は足元の水準より低い2.1%。増田光男運用企画部長は25日の運用説明会で「十分投資に値するが、集中的に投資する水準ではない」と述べ、さらなる金利上昇を待って動く方針だ。
三井住友トラスト・アセットの稲留氏は、期待された来年度の超長期債の発行減額は、財政が拡張されれば見送られる可能性があると指摘。民間の需要も盛り上がりを欠いており、需給が改善するきっかけが見当たらないとして、「超長期金利の先高観はくすぶり続ける」とみている。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Masahiro Hidaka