店に飲食物持ち込みで『罰金1万円』、居酒屋で吐いたら『罰金1万円』 飲食店の独自ルール 法的な有効性は?【#みんなのギモン】
■客は「吐いたら罰金1万円」に合意していた?
石﨑冬貴弁護士 「飲食店では清掃費用のほか、嘔吐によって周囲のお客さんが店を出ていってしまうなどの損害が発生することが考えられます。こうした得られるはずだった利益を算出するのは非常に難しいため、店は、このような損害が出た場合はこれだけ請求しますよと、あらかじめ賠償額(罰金)を定めておくことができることになっています」 しかし、この賠償額は当事者間の合意のもとに決めることになっているため、店側が実際に損害を受けていたとしても、客の合意が得られていない場合は無効になるといいます。 石﨑冬貴弁護士 「店内のよく見える場所に罰金の貼り紙がされていたとしても、それは店側が宣言しているにすぎず、仮にお客さんが見ていたとしても合意を得たことにはなりません。絶対に守ってほしいルールがある場合は、入店時や予約時にしっかり説明し、事前に合意を得ておく必要があります」
■「吐いたら罰金1万円」金額は妥当?
今回のケースのように、嘔吐で罰金1万円は高いと感じる人がいるかもしれませんが、石﨑弁護士は一概にそうとも言い切れないといいます。 石﨑冬貴弁護士 「どうせ従業員が清掃するだけなのに、1万円は高いのではないかと思うかもしれませんが、コロナ以降に衛生管理の意識が高まったこともあり、清掃業者に依頼するケースもあります。また、食器など什器備品の交換であったり、ソファーに吐いてしまい張り替えといったことになると1万円では済みません。罰金1万円に合意していれば、それ以上請求されることはありませんが、合意していなければ損害賠償として、それ以上の金額を請求される可能性があります」 賠償額は、損害に対して平均的な金額に基づいて決められることになっているため、仮に100万円や1億円といった、平均額を大幅に超える金額を定めていた場合、合意があったとしても、その平均的な損害を超えた部分は無効になるといいます。 また、今回のケースでは支払う代わりに掃除をしたとありますが、店側は損害に対する金銭的な要求以外は認められないため、罰金の代わりに掃除をさせることはできないということです。 石﨑弁護士によると、店側が罰金を定めている理由の多くは、お金がほしいというよりもルールを守ってほしいという思いからだといいます。 お客さんはお店に迷惑がかからないように、ルールを守って楽しく飲食することを心がけましょう。
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