2024年首都圏中学入試の振り返りと将来予想図 2026年入試は「サンデーショック」の影響あり
入試問題は大学入学共通テストの出題傾向とリンク
進学校である私立中は、大学入学共通テストに寄せた入試問題を出す傾向があり、その傾向はすでに定着しています。大学入試センターは問題作成の基本的な考え方として「思考力・判断力・表現力等」を問うことを公表しています。 具体的には、共通テストでは、身につけた知識を使って、長い文章に加えて示された資料、表、グラフ、地図、写真から必要な情報を読み取ったうえで、答えを記述する力などが求められます。進学校を中心とした私立中の入試問題もまた、このような大学入学共通テストの出題傾向にリンクしているのです。 2024年の私立中入試問題では、どの学校の入試問題でも極端な難問、これまで見たことのないまったく新しいタイプの問題はほとんど見られませんでした。難関校の入試であっても、基本的な定番問題の組み合わせや、典型的な解法のかけ合わせで解ける問題が目立ちました。 【2024年入試のユニーク問題実例】 一方、なかにはユニークな問題も見られ、2024年入試では次のような問題が話題になりました。 国語では攻玉社が加工前の写真と、加工後の複数枚の写真から、設問文の内容にあった写真を選択させる問題を出しました。 算数では、開成、豊島岡女子、駒場東邦などが、今年の西暦である「2024」という数字を題材にした問題を出しました。 理科では、芝が大谷翔平選手の活躍を題材にした打球の軌道の問題、女子学院がトマトの断面図を選ばせる問題や種の位置を書き込ませる問題などを出し、受験生の日頃の観察力を問いました。 社会では、筑波大附属駒場が、明治神宮外苑の再開発事業について「計画に反対する立場からの主張の根拠」を考えさせる問題を出し、SNS上でその問題の妥当性について物議を醸しました。また、多くの学校で「ジェンダー」「新紙幣」「物流2024年問題」「災害」などの時事問題が出され、日頃から社会で起きていることへの関心を問う学校側の姿勢がうかがえます。