『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
『【推しの子】』という作品は「原作改変」自体は否定していない
●あり得る別エンディング、そして現状のラストを肯定する意見も そのような批判や不満の声が続出したからこそ、実写ドラマ版および映画、はたまたTVアニメの3期(それ以降の4期)で、「別エンディング」を期待する声も出ています。 たとえば「アクアは海へと落ちたが海岸へ辿り着き生還する」「映画が社会に与えた影響と自身たちが幸せになることでカミキに復讐する」「アクアがヒロインの誰かと結ばれて終わる」「アクアがカミキを殺した(ように思えた)のも実は映画の1シーンだった」といった、まったく異なるトゥルーエンドもしくはハッピーエンドも想像できます。 なお、現状のラストも、アクアにとっては妹のルビーを守ることができた「メリーバッドエンド」として肯定する人もいるようです。この終わり方だからこそ、その少し前の157話「なんにもない日、すてきな日」の尊さが際立つという意見もありました。 芸能界の「闇」「裏側」を描き続けても、なおもその場所で生きる人びとを描いている作品だからこそ、「どんなに苦しく辛いことがあっても、登場人物たちが芸能界で生きる」という着地は必然と思う人もいるでしょう。 ●原作改変を否定していないからこその期待 『【推しの子】』の劇中では、漫画家の「鮫島アビ子」が、自身の作品の舞台版の脚本について「別に展開を変えるのは良いんです。でもキャラを変えるのは無礼だと思いませんか?うちの子たちはこんな馬鹿じゃないんですけど」などと訴える場面があり、その後も表現が異なる媒体での「原作改変の問題」および「改変がされる正当な理由」をも描いています。 つまり、それは作品内で「原作改変そのものを十把一絡げに否定していない」ということです。だからこそ、「『【推しの子】』の実写やアニメでは、マンガとは違う最終回を用意することはあり得る」と思えますし、それはメディアミックスの様々な事情を描いてきた『【推しの子】』という作品自体を、メタフィクション的に捉えることにもつながるのかもしれません。 いずれにせよ、Amazon Prime Videoで11月28日21時より1~6話(12月5日21時より7~8話)が独占配信される実写ドラマ版、12月20日より劇場公開される実写映画『【推しの子】 The Final Act』、放送時期未定ながら制作決定したテレビアニメの3期(それ以降の4期)で、『【推しの子】』の物語がどのように展開するかは見ものです。「原作に忠実」を貫くのか、それともラストも含めて改変をするのか……多くのファンにとって、納得できる内容になることを期待しています。
ヒナタカ