「視聴者を舐めるんじゃないよ」と常に言ってきた--ワイドショーを「変えた」小倉智昭が語る、キャスターの矜恃とこれから
歯に衣着せぬコメントで、たびたび波乱も
歯に衣着せぬ小倉のコメントはたびたび波乱を巻き起こした。 「抗議されたからといって、切っ先を弱めてしまったら『とくダネ!』を始めた意味がない。変わらずに強く出ましたね。時には、炎上するだろうなと心の中でわかっているのに、しゃべりますから。そしたら、本当に炎上するんですよ(笑)」 巨大組織にも、強気な姿勢を崩さなかった。2009年1月9日、休場明けの横綱朝青龍について「星が買えればいいのにね」と発言。日本相撲協会の九重広報部長(元千代の富士)は「今後、フジテレビには一切映像を貸さない。(同局で放送の)大相撲トーナメントも引き揚げる」と圧力をかけてきた。 「半分はジョーク、半分は批判ですよ。ちょうど『週刊現代』が八百長問題を取り上げている頃で、『相撲は興行だから当然あるでしょう』と番組でも言ってたんだから。その時は、抗議も何もなかった」 その2日後の夜、小倉の発言を一度もとがめたことのない局長から電話があった。 「事情を説明されてね。えらい剣幕で怒っています、スポーツ局も泣きついてきてますと言われて。謝罪したほうがいいの? と聞いたら、今回だけは……と。自分の言いたいように謝罪するけどいい? と確認して、好きにしゃべりましたね」 翌日、小倉は「申し訳ありません」と頭を下げつつ、「間違ったことは言っておりません。今まで10年間、そういう言葉遣いが私の持ち味だと思ってやってきました。それでお詫びをしろというのであれば、司会を辞めさせてくださいと申し上げました」とまくし立て、九重親方の抗議内容も明らかにした。言葉の端々に怒気が込められていた。 「結局、相撲協会に電話が殺到しちゃって、広報部長が辞任した。あんな展開になるとは思わなかったですね。九重さんとは歯医者が一緒で、面識あったんですよ。数年後、歯医者さん主催の新年会で会った時、『小倉さんとはいろいろあったけど、これからも頑張ってよ』と言われましたね」