勇ましく乱舞する５基の大奉燈＝七尾市石崎町

　七尾市石崎町で3日、七尾四大祭りの一つ「石崎（いっさき）奉燈祭（ほうとうまつり）」が行われ、高さ12～13メートル、重さ約2トンの大奉燈5基が七尾湾沿いで乱舞した。能登半島地震の影響で地区1カ所が参加を見送り、巡行場所も限定したが、復興の思いを込めた勇壮な「サッカサイ」の掛け声が響き渡り、震災の傷跡が残る漁師町を熱狂に包んだ。 【写真】被災家屋の片付けを進める関係者=七尾市石崎町 　例年は大奉燈6基が町内を回る。今年は家屋被害が多い西2区が参加を断念し、東1～4区、西1区が県漁協七尾支所の駐車場などに限定して奉燈を繰り出した。 　炎天下の中、奉燈は鉦（かね）と太鼓、笛の音に合わせて仮宮が設置された駐車場と周辺の道路を往復。汗だくの若衆が威勢のいい声を張り上げながら乱舞させた。 　馳浩知事や西田昭二総務政務官、茶谷義隆市長らが出席して大漁祈願祭が営まれた。夜が更けると明かりがともされ、煌々（こうこう）と輝く奉燈が登場。若衆は奉燈を荒々しく上下左右に揺さぶり、大勢の聴衆を沸かせた。 　一般社団法人マツリズム（東京）の7人が西1区の担ぎ手として参加。1月に市内の避難所運営に協力した京都市職員3人も訪れ、小林正利さん（48）は「こんなに大きな奉燈を見たのは初めて。復興に向けて頑張る七尾市民の姿を見ることができた」と話した。 　料理や酒を振る舞う「よばれ」を自粛する家庭が多かったが、実行委員会の土倉和紀委員長（52）は「祭りをして良かった。多くの人に元気を届けられた」と話した。 　　●祭りの絆で家屋片付け　石崎町西2区と越中祭青年会 　被災者に配慮して石崎奉燈祭への参加を見送った石崎町西2区では3日、同区壮年会の有志が被災家屋の支援活動に汗を流した。奉燈の担ぎ手として参加予定だった射水市新湊地区の「越中祭青年会」が片付け作業に協力し、交流を続けてきた石崎と新湊の若衆は祭りに不参加でも絆を確かめ合った。 　西2区と越中祭青年会の交流は2020年に始まり、石崎奉燈祭と国重要無形民俗文化財・新湊曳山まつりで互いに担ぎ手の「助っ人」を務めてきた。 　西地区では避難生活を続ける住民も多く、西2区の若衆は唯一奉燈を出すことを断念。中西竜太壮年会長（45）と越中祭青年会の五十嵐友輔副会長（25）=射水市中新湊=が、被災家屋の復旧が進まない状況を見て支援活動を計画した。 　石崎地区でボランティア活動を続ける「sien　sien　west（シエンシエンウエスト）」も協力。被災家屋から家財などを運び出し、ごみの分別作業を進めた。中西壮年会長は「協力は有り難く、一生忘れられない汗になった。来年は青年会メンバーに奉燈を担いでもらいたい」と話した。