市道の舗装劣化で事故多発 補修予算増額求める声も 長野県松本市
長野県松本市の市道で、舗装の劣化による交通事故が相次いでいる。市は令和10年度までの10年計画で舗装の改修を進めているが、補修が必要な区間は計画長の4倍に上る。安全が脅かされる事態に、市議会からは改修予算の増額を求める声も上がっている。 6月28日~7月1日の4日間、笹賀の市道でタイヤがパンクしたりホイールが損傷したりする事故が7件連続発生した。原因はアスファルトの剥がれによる最大幅約80センチ、深さ約10センチの陥没だった。7月31日には入山辺の通称・アザレアラインで、バイクを運転していた市内の70代男性が転倒する事故が発生。男性は足首やあばらの骨を折る大けがを負った。この事故も路面に発生した直径約1メートル、深さ約10センチの陥没によるものだった。いずれも市議会建設環境委員協議会に報告があり、委員からは事故の多さを憂う声が聞かれた。 市によると、市道の総延長約2330キロのうち、通行量の多い幹線道路は約340キロ。令和10年度までの舗装長寿命化計画だと、このうち約22キロを10年かけて補修するとしている。一方、市が令和元年度に行った調査では、およそ4倍に当たる約87キロの区間で基準値以上のひび割れ、わだちなどが確認され、補修が必要と分かった。 要補修区間全てを計画に入れなかった理由の一つに「予算の平準化」があるという。中長期的な舗装の長寿命化計画は今回初めて策定した。市の担当者は「以前より道路維持に力を入れているのは確か」としつつ、「一気に予算を増やすのは難しい」と話す。本年度は約2億5000万円の予算を計上し、2キロほどの区間で修繕を進めている。 市は「道路などのインフラは(新設ではなく)維持管理の時代に入っている」との認識を示し、市公式LINEの道路損傷通報システムなどを活用し「費用とのバランスを取りながら、安全を最優先に改修を進めたい」としている。
市民タイムス