高性能ステーションワゴン対決 BMW x AMG x アウディ 「V10」が懐かしい2007年御三家比較
ドイツ御三家の高性能モデル
この3台は、ステーションワゴンであるからこそ、より魅力的に感じられる。筆者は性能を隠したマシンが好きなのだが、広々とした実用的なボディはそれに最適と言える。また、筆者は運転しながら他のクルマに興味を惹かれる「目移り症候群」にいつも悩まされてきた。だが、速いステーションワゴンならあらゆる可能性をカバーできる。家族との外出、ファストフードを買いに行く、スーパーカーと張り合う、などなど。 過去15年間で高性能車がどれほど進化したかは、ここにいる3台を見れば一目瞭然だ。その中でも注目は、最高出力420psのアウディRS4アバントだ。4.2L V8は8000rpmを超える回転数を誇り、膨張したショルダーと大型グリルは他の5ドア車を圧倒するだろう。ただし、今回は話が違う。 新型M5ツーリングはアウディと同じような出力特性を持つが(BMW、マセラティ、ランボルギーニ、アウディが同じモジュラー・エンジンを使っていて、その効率性と回転特性が似ている)、シリンダーが2本増えてV10となっている。その結果、最高出力は507ps/7750rpmとなり、スピードリミッターを解除すれば最高速度は320km/hに達する。 メルセデス・ベンツは、アウディやBMWが小銃を振り回すのを待ってから大砲を放つのが常だが、E 63もその流れに則っている。 RS4アバントに乗った直後に「メルセデスは94ps強力で似たようなクルマを作っている」と言われれば、大抵の人はうろたえるだろう。しかし、メルセデス・ベンツは最高出力514psのEクラス・ステーションワゴンに需要を見出しており、今のところCクラスに同じエンジンを積む気はないようだ。ひとまずは安心できるだろう……。
マット・プライヤー(執筆) 林汰久也(翻訳)