オーストラリア、再び財政赤字に-1年以内の総選挙控え予算案発表
(ブルームバーグ): オーストラリア政府は14日、電力料金の補助金や重要鉱物に関する優遇税制、新たな軍艦の導入などを含め、財政支出を強化する予算案を発表した。2025年5月までに総選挙が実施されることもあり、労働党政権は手厚い予算配分で有権者へのアピールを図る。
財務省の予算案によると、25年度の財政赤字は283億豪ドル(約2兆9300億円)と国内総生産(GDP)の1%相当となり、その後の12カ月で428億豪ドルに膨らむ見通し。25年度の財政赤字はエコノミスト予想の倍以上。労働党政権発足後の2年間はインフレ抑制に努めたこともあり財政黒字だった。
同省は「気候変動や高齢化、地域の安全保障、介護・支援サービス需要増加により、豪州は長期的な財政課題に直面している」と指摘。「財政赤字の拡大は政府の生活費軽減対策とやむを得ない歳出圧力への対応によるものだ」とも説明した。
政府の生活支援策にはエネルギー料金の引き下げを支える35億豪ドルが含まれており、25年6月末までの年間予想インフレ率を約0.5ポイント引き下げるという効果もある。
財務省の試算によれば、インフレ率は今年中にオーストラリア準備銀行(中央銀行)の目標である2ー3%に戻る可能性があり、これは豪中銀の予測より約12カ月早い。
原題:Australia’s Pre-Election Spending Swings Budget Back to Red (1) (抜粋)
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Swati Pandey, Ben Westcott