地震の傷を「金継ぎ」でつなぐ “火災で焼けた”珠洲焼を修復し伝える「記憶」 能登半島地震からまもなく半年【news23】
田中さんは同じ場所に店を再建させ、そこに“焼けた珠洲焼”を飾りたいと話す。その理由は… てんだ商店 田中宏明さん 「後ろにサインが入っているこの方はもう作らないって言ってました」 美術家 中村邦夫さん 「今回の地震で?」 てんだ商店 田中宏明さん 「この方は珠洲焼やめるって言ってました。皆さん魂を込めて作っているものなので、作家さんの気持ちを汲みたいなと思って。少しでもみんなの目で見てもらえれば幸いです」 引退を決めた作家の作品を、これからも伝えていきたいという思いだった。 美術家 中村邦夫さん 「責任重大ですよ」 てんだ商店 田中宏明さん 「少しでも良くなるなら…」 ■焼けた珠洲焼を金継ぎ「地震があったことを受け継ぐ」 東京に戻り早速、修復作業に取りかかる。火事で焼けた器を直すのは初めてだという。 美術家 中村邦夫さん 「焼けて少し脆くなっていたり、本当に爪痕が残ってる感じですけど。これを展示したいということを言っていたので、欠けた部分だけを修復しようかなと思っています」 ヒビが入った部分を漆と混ぜた珪藻土で埋めて、やすりで削る。これを繰り返し、最後に金粉を蒔いたら金継ぎは完成する。 2週間後、田中さんの元を再び訪れた。修復を終えた珠洲焼を田中さんに返却すると… てんだ商店 田中宏明さん 「すごい。完璧だと思います。すごいですね」 美術家 中村邦夫さん 「焦げているところは取らないで、そのまま生かしたんですよね。欠けてるところだけを(金で)埋めて」 金継ぎされ、かえってきた珠洲焼。 てんだ商店 田中宏明さん 「こうやって残して、いろんな人に見てもらう。作家さんとしても本望だし、ありがたいことだと思います」 美術家 中村邦夫さん 「ささやかなものでもいいと思うんですけど。金継ぎした器を直すことによって、昔、地震があった、火事があったことを受け継ぐ事が出来る。能登の復興ってまだまだすごい時間がかかると思うけど、割れるものがある限り、僕は何か直していきたいなと思ってますけどね」
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