1個1秒 重量で仕分け 小型ロボ開発 埼玉県川越市・塩川武彦さん
埼玉県川越市で露地野菜を育てる塩川武彦さん(49)は、野菜を自動で選別する小型ロボットを開発した。計量皿に収穫物を載せると、重量に応じて皿が異なる方向に傾き、各コンテナに仕分ける仕組み。収穫物1個を1秒ほどで処理でき、ベテラン農家が手作業で選別する速度と遜色ないという。 【動画】次々と仕分けていく「ロボせんか」 開発した「ロボせんか」は、計量皿に収穫物を一つずつ載せると、重量に応じて皿が傾くようプログラムされている。計測誤差は1グラム未満と高精度。例えばサトイモでは、地元JAの出荷規格に合わせ、40グラム以上、60グラム以上、100グラム以上、160グラム以上の4区分で選別できる。既にジャガイモ、ニンジンなどで使用実績があり、計量皿を変えれば他の作物でも使える。 本体は縦横10センチ、高さは20~60センチに調整可能で、重量は約2・2キロ。分解すればよりコンパクトになり、保管や持ち運びのしやすさにも配慮した。新規就農者ら経験が浅い人や障害者が働く農福連携の現場などでも、ベテラン農家と同じ効率での作業が期待できる。 塩川さんは農家の4代目で、2・2ヘクタールでサトイモやチンゲンサイなどを育てる。「選別作業は判断の連続が長時間続いて、神経が疲れる」との母の声を聞き、選別を自動化できないか考えたのが開発のきっかけだ。 学生時代に始めた機械工作が高じ、独学でプログラミングやロボット開発の知識を習得。2017年に開発に着手し、1カ月後には試作機3台を完成させた。近隣農家に貸し出して意見などを聞きながら1000回以上試行し、23年には「選別機」で特許を取得した。 「ロボせんか」は年内に販売も始める考えで、価格は5万円台を目指す。塩川さんは「農家の要望をかなえるロボットを今後も作っていきたい」という。
日本農業新聞