市場が一目置くウォーシュ氏、米財務長官候補の1人に-豊富な経歴
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領はまだ財務長官に指名する人物を発表していないが、ウォール街ではよく知られた連邦準備制度理事会(FRB)元理事のケビン・ウォーシュ氏は、少なくとも債券市場では一定の支持を得ている。
一部のストラテジストは、ウォーシュ氏が財務長官候補の1人であるとの報道を受け、18日に米国債が上昇した背景をこのように捉えている。ドイツ銀行のジム・リード氏はリポートで、この報道が18日からの相場上昇の「大きな要因の一つになったかもしれない」と顧客に指摘した。コメルツ銀行のクリストフ・リーガー氏も同様に、相場回復はウォーシュ氏の就任を期待したものだとの見方を示した。
次期大統領は外交・安全保障政策のポストを速やかに発表したが、財務長官の人選は決定を巡る内部対立の中で遅々として進んでいない。ウォーシュ氏のほか、ヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループ創業者のスコット・ベッセント氏、アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)、ハガティ上院議員(共和)らが候補に挙がっていると、関係者はブルームバーグに語った。
トランプ氏が実際に指名し、上院で承認されれば、ウォーシュ氏の最重要任務の一つは、28兆ドル(約4330兆円)に上る米国債市場の監督となる。次期大統領の異例な閣僚人事の一部とは異なり、ウォーシュ氏の場合、投資家によく知られた人物が財務省トップに就くことになる。
BNYメロンの市場戦略・インサイト責任者、ボブ・サベージ氏は「ウォーシュ氏の就任が実現すれば、米金融当局と財務省がどのように連携して政府資金を調達するのかという心配は減るだろう」と指摘した。
ウォーシュ氏(54)はブッシュ(子)政権で経済顧問を務め、モルガン・スタンレーで投資銀行家として働いた後、FRB理事を約5年間務めた。公職を去ってからは経済や市場について幅広く発言し、インフレタカ派として評価を高めている。スタンフォード大学の出身であり、同大学経営大学院の講師、フーバー研究所の客員研究員を務めるほか、多くの顧問を務めている。