「スケールでかすぎ…」昭和の名作『宇宙戦艦ヤマト』視聴者の度肝を抜いた「トンデモ作戦」
■星そのものを壊滅に導く壮絶な戦い!…第24話「死闘! 神よ、ガミラスのために泣け!!」
いよいよデスラー自身が指揮をとるも、それはガミラス星を戦場に使ったまさに総力戦であり、トンデモ作戦の宝庫でもあった。 ヤマトが目指すイスカンダルとガミラスは二重惑星(双子星)であったが、どちらも星としての寿命が尽きようとしていた。ガミラス本体は内核星(地底)にあるが、地底物質は硫化が進み、火山からは亜硫酸ガスの煙や硫酸性の溶岩が流れ、海や雨は濃硫酸、さらに硫化水素の風によって硫酸嵐が吹き荒れるという、実に恐ろしい環境だった。 デスラーはそんな場所にヤマトを誘い込んで、濃硫酸の海に沈めるという作戦を決行する。 まず、磁力を帯びた強磁性フェライトでヤマトを包み込むと、マグネットの力で地底内部に引きずり込む。 濃硫酸の海に着水したヤマトは第三艦橋が溶け落ち、浮上すると地底天井からは爆雷やミサイルが襲いかかる。人工的に引き起こされた硫酸嵐に襲われたヤマトは、まさに袋のネズミ状態となった。 このピンチに成すすべもない古代は、療養中の沖田に教えを乞う。すると返ってきたのは「(濃硫酸の)海へ潜るんだよ」というアドバイスだ。 その真意は、ヤマトが溶け切る前に鉱脈を探して波動砲を発射し、ガミラスの地上に大火山活動を誘発させるというトンデモ作戦だったのである。 このヤマトの奇想天外な反撃にデスラーは驚愕するが、総力戦とばかりに地中の天井都市からミサイル発射を指示する。だが、天井都市のビルそのものがミサイルであるため、ガミラス市民を巻き込むのは必然であり、こちらも結構なトンデモ作戦だ。 結局、ヤマトとガミラス双方の攻撃に星そのものが耐えきれずに崩壊。廃墟と化したガミラス星のひどい有り様を目にした古代は、「我々がしなければならなかったのは戦うことじゃない、愛し合うことだった」という名言を残す。なんとも悲しく、後味の悪い戦いであった。 ワープや光速、何万光年という途方もない距離……こうしたSF知識を『宇宙戦艦ヤマト』で知ったファンは多いはず。それと同時に、戦いの中で繰り返し起きる悲劇や人間愛も、『ヤマト』から学んだのである。 これから新たな時代に登場する『ヤマト』が、どのようなメッセージを我々に伝えてくれるのか楽しみに待ちたいと思う。
高塔琳子