「スケールでかすぎ…」昭和の名作『宇宙戦艦ヤマト』視聴者の度肝を抜いた「トンデモ作戦」
■宇宙生物を虐待し、基地を囮に人工太陽でヤマトを追い詰める! 第20話「バラン星に太陽が落下する日!!」
ガミラスを代表する軍人といえば、副総統のヒスや登場数の多い副官的な立ち位置のタラン、そして「ガミラスに下品な男は不要だ」とデスラーに穴に落された小太り男などが有名だが、やはりドメル将軍は外せない。 ドメルは「宇宙の狼」という異名を持ち、劇中でデスラーから勲章をもらうほどの名将である。厚い胸板と広い肩幅、極太の眉毛とウェーブしたもみ上げは男らしく、なにより2つに大きく割れたアゴはインパクトがあった。 13話からの途中登場にもかかわらず、ヤマトとの交戦回数が多いドメルは、いくつもの奇抜な作戦立案者でもある。たとえば七色星団の攻防戦で投入した秘密兵器「ドリルミサイル」は、ヤマト最強の兵器である波動砲を無効化させた。 だが、ほかにもドメルは当時の視聴者に衝撃を与えた「トンデモ作戦」を披露している。 ヤマトが到着した中間地点バラン星は、ドメルが基地司令官を務める星である。ドメルは、宇宙生物バラノドンを虐殺してヤマトのクルーの正義感をあおり、さらに基地が手薄であることをあえて見せつけることで、ヤマトをバラン星基地の攻撃におびき出す。 そして、その隙にヤマトの頭上から人工太陽を落下させて、自分たちの基地もろともヤマトを潰そうという、えげつない作戦を実行するのだった。 異変に気づいた古代はヤマトの艦首を反転させ、人工太陽に向けて波動砲を撃とうとするが、エネルギー充填までの時間が足りない。そこで古代がとった行動もなかなかトンデモないもので、ヤマトのエンジンを停止させて、落下することで時間稼ぎをしようとするのだ。 結局それでも時間は足りなかったが、ドメルの就任で降格したゲール副司令の告げ口により、デスラーはドメルに作戦中止を命じる。 それによりエネルギー充填の時間を得たヤマトは、波動砲で人工太陽を大爆発させることに成功。地上に降り注ぐ人工太陽の破片によってバラン星基地は壊滅した。告げ口ひとつで勝利目前の作戦と基地を潰されたドメルにとっては、まさに踏んだり蹴ったりな結末を迎えたのである。 さらにもうひとつ、地味ながらも人の心理を巧みに狙ったドメルのトンデモ作戦が存在する。 太陽系から離れる際、地球との通信が途絶えたヤマト。ところが、地球から7万光年も離れたバラン星近くで再び地球との通信が可能となった。 実は、ヤマトと地球の通信が回復したのは、ドメル将軍がわざわざリレー通信を行ったためである。滅亡寸前まで追い込まれた地球の現状を見せることで、ヤマトの乗組員の心をかき乱す……というのが狙いだった。 結局、ドメルの思惑どおりにホームシックを患ったのは通信班長の相原義一だけだったが、タイミング次第ではもっと効果があったかもしれない。人間の心理を突いた、実に嫌らしい作戦といえるだろう。