【バスケ】3試合で「122分18秒」出場、アルバルク東京のライアン・ロシターが体現した“CSへの熱情”とラストショットへの無念さ
試合終了を告げるブザーが鳴る。 コート上にいたアルバルク東京のライアン・ロシターがしゃがみ込み、視線を下に向けた。膝をつき、体を支えていた右手が力無くがくんっと崩れ、フロアに着き直してなんとか体勢を保つ。歩み寄った仲間が労って背中をぽんぽんと叩くが、呆然とした表情のまましばらく起き上がれなかった。 「本当に負けて悔しかった。この気持ちを整理するのは、ちょっと時間がかかるかなと思います」 13日に有明コロシアムで行われたBリーグチャンピオンシップクォーターファイナル(CS・QF)第3戦で琉球ゴールデンキングスに57ー58で惜敗したA東京は、1勝2敗で敗退が決定。試合後、記者の囲み取材に応じたロシターの言葉には、無念さがにじんだ。 ただ、ダブルオーバータイムにまでもつれ込んだ第1戦を含むシリーズ3試合でロシターがコートに立った時間は、計130分のうち、両チームを通じて最長となる驚異の122分18秒(平均40分46秒)。スタッツは22.7得点、13.0リバウンド、2.3ブロックの平均ダブルダブルを記録し、チームを力強くけん引する姿は圧巻の一言だった。
毎日練習してきたシュート「悔やまれる」
第3戦は紙一重だった。 ロシターが「オフェンスもディフェンスも非常に入りが良くなくて、前半はターンオーバーが目立ち、ディフェンスでもかなりミスがありました」と振り返る通り、序盤は前から激しいプレッシャーを掛ける琉球のディフェンスに押され、前半だけでターンオーバー八つ。ただロシターやメインデルの個人技で粘り、29ー32の僅差で折り返した。 第3Q以降もほぼ追う展開に。それでも第4Q残り1分4秒で小酒部泰暉がファウルを受けながら3Pを決めて4点プレーを完成させ、土壇場で57ー57の同点に追い付いた。残り22.8秒でアレン・ダーラムにフリースローを与えたが、成功は1本のみ。スコアは57ー58。勝負のポゼッションが訪れる。 バックコートからテーブス海がボールを運ぶ。トップの位置からロシターとのツーメンゲームで2度ピックを掛け、ディフェンスのズレを作る。テーブスからのバウンドパスを受け、残り7秒でロシターが左エルボー付近から右手でフローターシュートを放った。 シリーズを通して何度も決めてきた得意の形だ。しかし、ボールは無情にもリングを二度叩き、ゴールからこぼれ落ちた。試合終了間際にレオナルド・メインデルが放った3Pも決まらず、稀に見るロースコアの死闘は、薄氷の差で琉球に軍配が上がった。 「毎日毎日練習してほぼ決めているシュートだったので、自信もありますし、打ち切ったんですけど、落ちてしまいました。あの最後のショットを決めていたら、結果が変わったかもしれません。あれを外してブザーが鳴ったことは自分の中で悔やまれますし、この気持ちを整理するのは時間がかかるかなと思います」 試合終了後にしゃがみ込んでいた時の心境を問われ、ロシターは悔しそうな表情を浮かべ、そう振り返った。