【バスケ】3試合で「122分18秒」出場、アルバルク東京のライアン・ロシターが体現した“CSへの熱情”とラストショットへの無念さ
過去2シーズンは負傷離脱「最後まで戦えて幸せ」
ただ前述のように、このシリーズを通してのロシターの活躍は見事と言う他にない。数字に表れている部分以外でも、アップの時間や試合の合間に積極的にチームメートとコミュニケーションを取り、強烈なリーダーシップを発揮していた。 4日間で高強度の試合を3試合行い、いずれもほぼフル出場だったが、流れの悪い時間帯に正確なシュートを射抜いたり、体を張ったリバウンドやブロックでゴールを死守したりとチームを鼓舞し続けた。3試合目での疲労度を聞くと、強いメンタル面がうかがえる答えが返ってきた。 「勝たなければシーズンが終わる第3戦ですので、疲れという気持ちは全くなかったです。コンディショニングを整え、プライドを持って最後まで戦えた。出場時間は非常に多かったんですが、ここまでやれたことは自分にとっても本当に良かったと感じます。また、ファンの後押しがあったからこそ、ここまでプレーできたと思います」 宇都宮ブレックスでBリーグ開幕初年度の2016-17シーズンに優勝を経験し、2021-22シーズンにA東京へ移籍して3シーズン目。2017-18、18-19シーズンに2連覇を達成して以降、低迷していたチームの立て直しを期待されたが、初年度はシーズン途中の怪我で離脱し、2年目の昨シーズンもCS・QFの島根スサノオマジック戦で負傷し、最後のSFはベンチから見守った。期待に応えられなかった悔しさがあるからこそ、今シーズンに懸ける想いは強かった。 「過去2年間は怪我に泣かされ、CSはチームメートがファイトしているところを座って観るだけでした。今シーズンはこのような形でCSクォーターファイナルをプレーできたことは非常に幸せなことだと思います。だからこそ、何とか自分の力でチームを勝たせたい気持ちがありました。結果は出なかったのですが、過去2年のシリーズでプレーできなかったことに比べ、今年は最後まで戦えたことは良かったです」 第3戦の試合終了後には、第4Q途中に足首を負傷し、ベンチ裏の椅子に座って試合を見守っていた今村佳太の下にいち早く駆け寄り、健闘を称え合っていた。来シーズンはどのチームに所属するのかはまだ分からないが、一人のプロ選手、そしてリーダーとして優れた人間性を持ち、34歳となった今も高いレベルのパフォーマンスを維持するロシターは、今後も「チームにとって必要とされる選手」であり続けるに間違いない。
長嶺 真輝