八重樫を悩ます最強挑戦者とデング熱騒動?
「村田諒太第5戦&井上尚弥・八重樫東ダブル世界戦」(9月5日、代々木第2体育館)の調印式並びに記者会見が3日、都内のホテルで出場6選手が出席して行われた。注目は、WBC世界フライ級王者、八重樫東(31歳、大橋ジム)と同級1位のローマン・ゴンザレス(27歳、ニカラグア)との指名試合だ。“ロマゴン”は、これまでWBA世界ミニマム級王座とWBAライトフライ級王座のベルトを巻いてきた元2階級王者で39戦無敗。アマチュア時代も87戦無敗で、しかも、プロ転向後は、39戦のうち33戦がKO勝利という高いKO率を誇る。スピードはないが、強力なパンチ力とプレッシャー、精密マシンのように的確にパンチを当てていくセンスを兼ね備えた文字通り軽量級世界最強ボクサーである。 「強い選手と戦うのがボクサーの責任。これを勝ち抜いてこそ本当のチャンピオンだと思う。ロマゴンは、技術、メンタル共に高い次元にあって、勝つのは大変なことはわかっているが、ハート、気持ちの部分でがんばりたい。僕の生き様を見届けてもらいたい」 八重樫は、そう悲壮なまでの覚悟を語った。 大橋ジムの大橋秀行会長は、「私が八重樫に送っている助言はたったひとつだけ。ゴングが鳴ったと同時に逃げ回れ!」と珍指令。それを受けて反応を聞かれたロマゴンは、「大変、いい助言だと思う。9月5日は試合というより戦争になるだろう」と、このときばかりは、神への祝福の言葉を忘れて敵意をむき出しにした。 「私の発言を聞いて、当日は、どう出てくるのか?とロマゴンも混乱しただろう」と大橋会長は、したり顔。公にした「逃げ回れ!」は、あくまでも陽動作戦のひとつ。八重樫陣営は「ロマゴンを相手に12ラウンド足を使い続けることはできない」と読んでいる。もちろんステップワークとスピードを活かした出入りのボクシングは基本だが、腹を据え足を止めて打ち合うことも含めて、いくつかのパターンを想定してロマゴン攻略作戦を立てている。「最終的な答えは見つからない。リングに上がってからの感性」とも八重樫は言う。 いずれにしろロマゴンが難攻不落の挑戦者であることは間違いない。 「ロマゴンは生きた伝説、最強のボクサーと戦った男になるか、勝った男になるかでは大違い。八重樫には、生きた伝説に勝ったボクサーになってもらいたい」と、大橋会長は愛弟子に熱いエールを送った。