『このろくでもない世界で』より裏社会の人間役に挑んだソン・ジュンギのインタビューが到着
第76回カンヌ国際映画祭&第28回釜山国際映画祭に公式出品され、百想芸術大賞で4部門ノミネート、キム・ヒョンソが新人演技賞に輝いた韓国映画『このろくでもない世界で』(7月26日公開)。このたび、本作で寂れた町の犯罪組織のリーダー・チゴンを演じたソン・ジュンギのオフィシャルインタビューと日本に向けたメッセージ動画が解禁となった。 【写真を見る】監督も主演も新人の撮影現場で劇中さながらの兄貴分として振る舞うことに務めたソン・ジュンギ 2008年に『霜花店(サンファジョム) 運命、その愛』(10)でデビューして以来、映画とドラマを行き来し、さらに「ミュージックバンク」をはじめ音楽番組のMCを務めるなど、マルチな才能を発揮してきたジュンギ。近年の活躍は特に目覚ましく韓国国内のみならず、世界的に話題となる作品への出演が続いており、グローバルスターとしての地位を確立。日本でも「ヴィンチェンツォ」『ロ・ギワン』(24)「財閥家の末息子~Reborn Rich~」などの主演作が続々と配信されている。 そんなジュンギが惚れ込んだのが、本作が初長編作品となるキム・チャンフン監督の脚本。主人公は継父によるDVに怯える18歳のヨンギュ(ホン・サビン)。義理の妹ハヤン(ヒョンソ)を守るために暴力沙汰を起こした彼は、高校を停学されたうえ、示談金を求められる。生き抜く術のないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー、チゴン(ジュンギ)の門戸を叩くことにする。 実話ではないものの、監督自身が社会で苦労した経験をエッセンスとして盛り込み、身体的痛みと心の叫びが渾然一体となった物語に惹かれ、ジュンギがチゴン役を熱望したことから、この企画が本格的に動きだしたとのこと。本作の撮影舞台裏、初のカンヌに対する想いについては以下のようにコメントしている。 「キム・チャンフン監督と主演のホン・サビンはいずれも新人なので、バランスを取らなければいけないという責任感が少なくなかった。しかし、得るものがとても多く、自分にとっては癒される現場だった。本当にいい映画を作りたいという気持ち、映画らしい映画が作られているという確信が持てた。(カンヌ国際映画祭に公式出品されたことは)正直『まさかカンヌに行けるの?』と思っていた。本当に苦労して撮影した、自分の中でとても大切な作品なので、大きなプレゼントをもらった気分だ。特に未来の巨匠を紹介する、ある視点部門に招待されてとてもうれしい」。 さらに、日本公開を記念して、日本独占のメッセージ動画が到着。ビシッと決めたタキシード姿で「日本のみなさんこんにちは!日本のみなさんの感想がとても楽しみです。ぜひ映画館にお越しいただき、本作を楽しんでください!この映画を愛して応援してくださってありがとうございます」と本作で演じた裏社会の男、チゴンとは真逆にある、爽やかでやわらかい笑顔を見せている。 最近では小栗旬、赤西仁出演のNetflixシリーズ「ロマンチックアノニマス」への特別出演も発表されるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いのジュンギ。劇中では、常にトップスターであり続けた彼がこれまで目にしたことのない姿で登場し、表情や声のトーンまで徹底的に変身させて、チゴンというキャラクターを時に大胆に、時に繊細に演じ切った。その渾身の演技と若手チームとの協働がカンヌ国際映画祭、釜山国際映画祭へ導いたと言えるだろう。 そしてこの度、ジュンギから日本の観客へプレゼントが送られることに。日本版ポスターをリサイズしたポストカードに直筆のサインとメッセージを書き加えて、韓国から送り返したものになる。『このろくでもない世界で』の半券を添えて応募した人の中から抽選で5名にプレゼントされるそうなので、本作のホームページで詳細をチェックしてみてほしい。 ■<コメント> ●ソン・ジュンギ(チゴン役) 「別の作品の提案を受けていて、お断りをしたことがあった。その際にどんな作品に出たいのか尋ねられ、『本当に深くて重みのある映画をやってみたい』と話した。すると『主人公ではないけれど』と渡されたのがこの映画でした。キム・チャンフン監督と主演のホン・サビンはいずれも新人なので、バランスを取らなければいけないという責任感が少なくなかった。しかし、得るものがとても多く、自分にとっては癒される現場だった。本当にいい映画を作りたいという気持ち、映画らしい映画が作られているという確信が持てた。満足度をあげるとしたら93点くらい?心の中では89点くらいの感覚だったが、カンヌまで来たから4点追加(笑)!!俳優にとって最高の贈り物はいい作品に出会うことだという当然の事実を改めて実感した作品です。正直『まさかカンヌに行けるの?』と思っていました。本当に苦労して撮影した、自分の中でとても大切な作品なので、大きなプレゼントをもらった気分です。特に未来の巨匠を紹介する、ある視点部門に招待されてとてもうれしい。台本を読んで感じた感情よりも深く表現されていて満足しています。特に湖のシーンでヨンギュが後ろからチゴンの耳を見つめる表情を見る時、“この台本を読んだ時に感じた感情が合っていたんだな”と確信し、“この映画を選んで良かった”と思いました。全てのスタッフと俳優たちに感謝し、この映画が沢山愛されることを願っています」 文/平尾嘉浩