ブラジル映画『I’m Still Here(原題)』、アカデミー国際長編映画賞の有力候補か
アニメーション映画『野生の島のロズ』を除けば、2024年トロント国際映画祭(TIFF)で世界初公開または北米初公開された映画の中で、最も好意的に受け入れられたのは『I’m Still Here(原題)』以外にないだろう。この映画は、1964年から1985年にかけてブラジルを支配した軍事独裁政権下での一家族の体験を描いた、ウォルター・サレス監督による深く感動的な作品である。 ブラジル映画『I’m Still Here(原題)』、アカデミー国際長編映画賞の有力候補か 『I’m Still Here』は先週のヴェネツィア国際映画祭で初披露され、審査員により脚本賞を受賞した。この作品は、月曜日の午後、トロントのTIFFライトボックスでサレス監督と主演のフェルナンダ・トーレス、セルトン・メロが出席する中、上映された。上映後には約1分間の熱狂的なスタンディングオベーションで迎えられた(カンヌやヴェネツィアとは異なり、トロントではスタンディングオベーションが当たり前というわけではない)。 『I’m Still Here』は、マルセロ・ルーベンス・パイヴァの2015年の著書『Ainda Estou Aqui』を原作とし、ムリロ・ハウザーとヘイター・ロレガが脚本を手掛けた。物語は、サレス監督自身も一緒に育ったパイヴァ家族を中心に展開される。フェルナンダ・トーレスは、5人の子どもを持つ一家の母親を抑制された演技でありながらも力強く演じており、彼女の夫であり、元ブラジル労働党の国会議員だったルーベンス・パイヴァが突然失踪する前後の姿を描いている。 『I’m Still Here』は、彼らの物語を同様に力強く描いており、アメリカの配給会社ソニー・クラシックスの熱心な支援を受け、アカデミー国際長編映画賞のノミネートを狙う有力作品として挙げられている。 ブラジルがアカデミー国際長編映画賞にノミネートされたのは、26年前、サレス監督の出世作『セントラル・ステーション』が最後だった。