都会から地方にやってきた2人の新人医師、週の半分は東京で“コンサル業” 人口8500人の町にきたワケ #令和に働く
■常勤医不足・高齢化が深刻…
研修医として働く傍ら、イノベーター育成臨床研修コースでビジネスや病院経営についての学びを深めていた2人。そこで、医師不足の問題解決に取り組みたいと考え、勤務先に選んだのが、常勤医の不足、そして医師の高齢化が大きな課題となっている津南病院だった。
宮城さんは「問題について主体的に取り組むことで自分事として考えられるようになったし、実際にいま津南病院で働いているのも新潟の医師不足問題に関してちょっとでも力になりたいという部分が強い」と話す。
高齢化の進む町でかかりつけ医療機関としての役割を果たす一方で、町の財政も厳しく、医師の確保に加えて経営面でも岐路に立っていた津南病院。4月から2人が勤務したことで、病床の稼働率は去年に比べて1割上がったと林裕作院長は話す。 「2人が来てから病院の雰囲気ががらっと変わり、他の病院のスタッフ、看護師や検査技師なども若い先生が来てくれたということで、すごく病院が活気づいているし、今は満床に近い状況になっている。本当に若い力は絶大だなと感じている」
県が研修医育成プログラムを導入してから、県内の臨床研修医は2年連続で増加。特に県外の大学出身者が増え、2023年度は過去最多の161人に。育成プログラム導入前の2020年度に比べると、約60人増加した。しかし、研修後に県外の病院に行く医師も多く、県内の病院に留まってもらえるかが今後の課題だという。
■週の半分は東京などでコンサル業
こうした中で、新たな働き方に挑戦しているのが、木村さんと宮城さんだ。月曜日から水曜日までを宮城さんが、水曜日から金曜日を木村さんが津南病院で働く事で、常勤医1人分の役割を担っている。病院勤務はそれぞれ週3日。そのほかの日は、2人とも東京などで企業や病院経営のコンサルタントとして働いている。 ダブルワークを選んだ理由について、木村さんは「医者としてすごく成長することが大事だなと思うと同時に、赤字であったり、研修医確保がうまくいっていなかったり、病院も色んな問題を抱えている中、マネジメントとか経営が非常に気になる。いろんなことが気になった時に全部解決できるような人間になりたいなと思った」と話す。