AI時代「子どもが不登校でも“問題”ない」本当の訳 つらいこと、嫌なことからは逃げてもいい?つんく♂✕孫泰蔵氏の「意外だけど納得の答え」
でも、本当にそれでいいのかという気持ちも、たしかにあります。 僕らの時代は、ミュージシャンならCDが売れれば、実入りもありました。でも、今はYouTubeで100万再生しても、そう簡単に金銭的な成功にはつながらないでしょう。時代が変わっているんだから、無責任に「頑張れ頑張れ」なんて言えない時代だなとも思ってしまいますね。 孫:だから僕は逆説的に「売れる・売れないよりも、好きなことをやっていたほうがよくない?」と思ってしまうんです。
■「努力しなくてもいい」わけじゃない つんく♂:ただ、そこで頑張ること、努力することを放棄していいのかという問題はありますよね。 孫:そこは僕も、つんく♂さんと同じ気持ちです。 僕もつんく♂さんも感じているのは、苦しいこと、つらいことから全部逃げていいと言いたいわけじゃない、ってことだと思うんです。 アメリカのシーモア・パパートさんという教育学者の方が「ハード・ファン」という言葉を使っていらっしゃいました。
つんく♂:「HARD FUN(きつい楽しさ)」ということですか? 孫:はい。たとえばプロ野球選手になりたいとか、歌手になりたいというような高い目標を目指すなら、その過程はきついし、しんどいですよね。 しんどいけど、それを乗り越えられないと突き抜けられない。乗り越えた先があるから楽しめるわけです。難しいことを乗り越えることって、楽しいことでもあるんですよね。 つんく♂:まさに、僕も「努力という言葉には、忍耐や我慢というニュアンスがあるけど、好きなことなら楽しいはずだ」というようなことを本に書いたんです。
孫:僕も「適当でいい」「努力なんていらない」なんて言う気はさらさらないんです。「やりたいと思ってはじめたなら、徹底的にやれ」って、本を書いたあとで、むしろますます思うようになりました。 つんく♂:オリンピックを目指すようなアスリートは、睡眠や食事以外はほぼ練習に費やすわけでしょう。それでも世界ランキングどころか、日本の上位にも入れない人たちはたくさんいる。 トップに立つような人たちの努力は、それこそとてつもないものです。でも、彼らは夢中になっている。やっぱり好きだから、たとえ誰かに止められてもやるっていうのは、たしかにあると思います。