なぜティモンディ高岸は独立リーグデビュー戦で2回3失点のプロ洗礼を受けたのか…出過ぎたアドレナリンと多忙な芸能活動の影響
プロ野球の独立リーグ、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに入団した人気お笑いコンビ、ティモンディの高岸宏行(29)がほろ苦いデビューを果たした。14日に栃木県総合運動公園野球場で行われた埼玉武蔵ヒートベアーズ戦で先発登板した高岸は、ストレートの最速が140kmをマークするもソロ本塁打を浴び、5四球を与えるなど制球も乱れ、2回を被安打3、3失点で降板した。高岸の予告先発で注目された一戦は4-4で引き分けた。なぜ芸能界最強投手のデビュー戦はうまくいかなかったのか?
最速140キロマークも手痛い被弾
10年分の思いを白球に込めた。 球審がプレーボールを告げる直前。まっさらなマウンドに立った高岸は、右手で握りしめたボールを見つめながらおもむろに、なおかつ力強くつぶやいた。 「ボールを鼓舞しました。君ならば『やればできる!』と」 甲子園を目指した過程で、育成ながらドラフト候補にも挙げられた愛媛県の強豪・済美高時代までさかのぼる実戦のマウンド。進学した東洋大でイップスからひじを故障し、一時は野球に別れを告げた高岸は万感の思いで胸を震わせていた。 しかし、おなじみのキャッチフレーズを介して“念”が込められた、内角低目に外れる134kmのストレートで幕を開けたデビュー戦は予期せぬ展開を見せた。 まず先頭の金子功児が一塁への内野安打で出塁する。続く樋口正修をフォークで二塁ゴロに打ち取り、併殺と思われた直後にセカンドの宜保優が悪送球。無死一、二塁とピンチが広がり、楽天で投手として活躍した片山博視を左打席に迎えた。 この場面では高岸が踏ん張る。片山への初球、この試合で最速となる140kmのストレートで今度こそ二塁ゴロ併殺に仕留めた。ただ、二死三塁で4番・フェルナンドを右打席に迎えた初球、115kmのフォークの軌道は思い描いたものとは違った。 キャッチャー叺田本気の手前で弾んだボールは、無情にもバックネット方向へと転がっていく。暴投で先制点を献上し、さらに連続四球を与えた場面で、選手と投手総合コーチを兼ねる成瀬善久がたまらずマウンドへ向かった。 ロッテとヤクルト、オリックスで通算96勝をあげた左腕が明かした高岸の異変はイコール、思うようにコントロールが定まらない理由でもあった。 「こうした緊張感のなかで久々に投げた影響で、体が震えていたのか、あるいは興奮していたのかはわかりませんけど、アドレナリンが出すぎてちょっと気負っている部分があった。なので、まずは自分にできることをしっかりやろうと伝えました」