阪神ドラ1に悲劇…いきなり酷使で「終わった」右肩 与えられなかった“猶予期間”
中田氏の1年目途中に引退…響いた江本孟紀からの一言
シーズン34試合目の登板だった8月15日の大洋戦(平和台)で、2/3回を無失点。6勝目を挙げたが、次の登板は9月9日の広島戦(甲子園)までずれ込んだ。右肩痛のため1か月近く登板がなかった。「あの時、試合に出なくてもずっと1軍にいたんですよ。今思うと、治療に専念しないといけなかった。マッサージはしていたけど、ブルペンでちょろちょろっと投げていましたからね。まぁ、そんな時代ではあったんですけど……」。 9月に復帰してからも、右肩が元の状態に戻ることはなかったという。「あそこで痛めてほとんど終わった感じですよ。自分のボールを放れなくなりましたからね」。横浜高校時代に痛めて以降、万全ではなかった右膝に続いてプロ1年目に右肩も故障。この影響はずっと続き、のちにはさらなる怪我も負った。 中田氏の体を心配していた江本は8月26日のヤクルト戦(甲子園)に先発して8回4失点で降板し、“ベンチがアホやから騒動”によって現役引退した。中田氏は「ホントに江本さんが言った通り、肩を壊しましたからねぇ」と言い、「あの年、江本さんがずっと抑えをやっていたら、僕はあのまま先発だったかもしれないし、肩も痛めなかったかもしれませんね」と笑いながら口にした。 中田氏はドラフト1位の即戦力ルーキーとして開幕時から全力を出し尽くした。しかし、夏場まで巨人・原辰徳内野手と新人王を争う成績を残しながら、終盤は右肩痛のため数字を伸ばせなかった。治療に専念しなかったことも含めて「もしも、あの時に」とは思ってしまう。いろいろと悔いが残るルーキーイヤーだった。
山口真司 / Shinji Yamaguchi