ピンチをしのいでセーブを挙げた藤平（右）は佐藤とともにマウンド上で笑顔を見せる（カメラ・中島　傑）

◆ラグザス　ｐｒｅｓｅｎｔｓ　第３回ＷＢＳＣプレミア１２　１次リーグＢ組　日本７―６キューバ（１７日・天母スタジアム） 　「ラグザス　ｐｒｅｓｅｎｔｓ　第３回ＷＢＳＣプレミア１２」の１次リーグ（Ｌ）が台湾・天母で行われ、侍ジャパンがキューバとの４時間を超える雨中の熱戦を制し、無傷の４連勝で１位通過を決めた。同点の８回、栗原陵矢内野手（２８）がソフトバンクの同僚・モイネロから左翼へ決勝犠飛を放った。９回は楽天・藤平尚真投手（２６）が抑えて初セーブを挙げた。国際大会での連勝を２３に伸ばした日本は１８日にドミニカ共和国と対戦。スーパーラウンド（Ｒ）は２１日から東京Ｄで行われる。 　最大の窮地を乗り切った。侍ジャパン・藤平が１点のリードを守り抜いた。シーズン中もなかった３日連続登板を避けた大勢に代わって、代表初セーブを挙げた“代魔神”は「大勢は普通にセーブしてますけど、その重圧もすごく感じました。絶対にゼロで帰りたいと思ってたのでホッとした」。プロ８年間でわずか１セーブの男が、大仕事。安どの表情が浮かんだ。 　７―６の９回に出番が来た。先頭に遊ゴロを打たれ、１０日のチェコとの強化試合（バンテリンＤ）から続いていた連続三振は９で止まったが「ずっと意識しちゃうので途切れてよかった」と切り替えた。横殴りの雨と強風で制球が定まらず、スパイクの歯には粘土質の土がへばりつき、踏ん張りがきかなかった。それでも２４球中１９球を真っすぐで押しに押した。２安打と死球で１死満塁を迎えたが、メジャー通算９３発のモンカダを最速１５３キロ直球で見逃しＫ。最後の打者を浅めに握ったフォークで空振りＫ。頭を抱えてうずくまるようにして、歓喜をかみしめた。 　３連続Ｋを奪った１３日のオーストラリア戦（バンテリンＤ）にはドジャース、メッツなど約１０球団のメジャースカウトが集った。あるナ・リーグのスカウトは「これまでは誰も注目していなかったが、将来的にメジャーに行ける可能性が出てきた。来季はもっと注目されるだろう」と有望株として高く評価。初選出となったトップチームでの快投で「ＦＵＪＩＨＩＲＡ」の名が世界に広がりつつある。 　グラウンド外でも努力を怠らない。昨年まで同僚だった松井裕樹（現パドレス）を見習って今年から管理栄養士と契約。食生活を見直した。台湾にミキサーを持参しパイナップルやオレンジをスムージーにしてビタミン補給。体のメンテナンスを欠かさない。 　先発の早川が６回途中４失点。横山、鈴木昭、清水が苦しみながらもつないできたバトンを勝利に結びつけた。４戦全勝の中で３戦に登板し失点０。今大会の奪三振率２４・００のドクターＫは「スーパーＲが楽しみですし、絶対に優勝したい」と意気揚々と引き揚げた。（長井　毅）