「非常戒厳を宣布するほかなかった状況を弾劾審判で疎明したい」 憲法裁の判断に期待する尹大統領、共に民主・李在明代表の裁判日程も考慮か
選挙法は、一審の宣告後、控訴審・上告審がそれぞれ3カ月以内に行われなければならない、と定めている。来年上半期中に、少なくとも李代表の選挙法違反事件控訴審の結果は出るかもしれないという話だ。これに関連して、一部の親尹(尹大統領に近い)系の議員らは、尹大統領に「弾劾審判で耐えて、早期大統領選挙の時期を遅らせるべき」という趣旨の要請を行ったといわれている。与党側の関係者は「尹大統領の破局が李代表の大統領選勝利に当然結び付くべき、ということには同意できない」と語った。 (3)「弾劾案が棄却されることもあり得る」 尹大統領の周辺では、国会で弾劾案が通過しても憲裁で棄却される可能性を完全には排除し難い、という主張も出ている。憲裁は9人の憲法裁判官で構成されるが、現在のところ国会選出分の3人は空席だ。与党側では「裁判官6人の傾向から見ると、法理争いのいかんによっては棄却を引き出せるのではないか」という期待も、一部見られる。 韓国憲法113条は、弾劾の決定には憲法裁判官6人の賛成が必要と定めている。現在の6人体制で決定が下されるとしたら、裁判官6人の満場一致で賛成して初めて尹大統領は罷免される。現在の裁判官6人のうち4人(鄭亨植〈チョン・ヒョンシク〉、金福馨〈キム・ボクヒョン〉、金炯枓〈キム・ヒョンドゥ〉、鄭貞美〈チョン・ジョンミ〉)は中道・保守寄りで、2人(文炯培〈ムン・ヒョンベ〉、李美善〈イ・ミソン〉)は進歩=革新=寄りに分類される。民主党はこれまで、国会選出分の候補者推薦に留保的態度を示してきたが、尹大統領を弾劾する必要が生じるや、自分たちの分の裁判官候補者2人の選出手続きに入った。国会で裁判官3人(国民の力の分1人、民主党の分2人)を推薦することになれば、裁判官の構成は中道・保守寄り5人、進歩寄り4人の構図に再編される可能性が高い。 (4)「捜査に対処する上でも弾劾される方が有利」? 検察・警察・高位公職者犯罪捜査処が競って尹大統領の捜査に乗り出していることも、尹大統領が弾劾を選んだ背景と無関係ではない、という分析が出ている。国会で弾劾案が可決されれば、大統領の職務は停止されるが、職はそのまま維持される。法曹界の関係者は「大統領の身分で捜査を受ける方が、自己防御権の行使という側面では『自然人の尹錫悦』よりもずっと優れている」と語った。その一方、今回の非常戒厳事態の衝撃波はすさまじく、憲裁の弾劾審判にそれほど時間はかからないかもしれない、という見方もある。 キム・ヒョンウォン記者