大調査 確定申告で政治献金を取り戻す国会議員たち①寄付額の3割が戻るカラクリ(全3回)
今、政治とカネが大きな問題となっています。中には、派閥からキックバックされた1239万円を自らが代表の自民党支部に寄付し、そのことによって約148万円の所得税の控除を受けていた菅家一郎・元復興副大臣のようなケースも明らかになりました。 実はこのやり口、2021年5月にフロントラインプレスが全ての国会議員について調査し、明らかにしています。記事はスローニュースの前のサービスに掲載されたもので、現在は読めなくなっているため、今回、当時の記事の主要部分を再掲載することにしました。(肩書などは全て当時のもの)
耳を疑うようなカラクリ
政治家が自らの政治団体に寄付し、その還付申告によって自身の税金を取り戻す――。こうした耳を疑うようなカラクリが今もまかり通っている。「個人の政治献金については税額控除(控除率30%)か所得控除を受けることができる」という租税特別措置法の優遇措置のことである。自分が代表を務める政党支部に寄付をした政治家が、これを利用して翌年の確定申告で寄附金控除を申請すれば、なんと、寄付額の約3割が戻ってくる。政治家にとっては「自分の政治活動のために寄付した一部を税金で負担してもらう」という大変都合の良い制度だ。 さすがに多くの政治家はその利用を自重しているが、この制度を利用し、還付金の恩恵に預かっている国会議員は少なくない。 調査報道グループ「フロントラインプレス」は、かねてから政治とカネに関する独自調査を続けている。2019年には、公金も投入されている選挙運動の資金について「余剰金」を出しながらもその使途が明らかになっていない状況を衆参両院議員に対する悉皆調査で公にした。 今回着目したのは、政治献金の還付申告だ。情報公開請求によって全国の都道府県選挙管理委員会や総務省から関係書類を相次いで入手し、分析した。その結果、与野党を問わず、衆議院と参議院を合わせて計39人が還付申告に必要な書類を各選管から受け取っていたことを突き止めた。直近の2019年の寄付に限っても、必要書類を受け取った議員は15人を数えた。自らの政治献金について還付してもらう態勢を整えたのである。 では、こうした国会議員はその書類を行使して、本当に「政治献金の約3割」を納税分から取り戻そうとしたのか。各議員の回答や姿勢から何が見えるのか。 以下、実態をひもといていこう。