【カレーオムライス】地元にずっと前からあったはずなのに見えていなかったノスタルジックファミレスで、ビールと美味と空気に酔う:パリッコ『今週のハマりメシ』第143回
メニューは、ハンバーグ&ステーキ、オム&グラタン、パスタ&ピザ、和食、サイドメニューなどのコーナーに分かれていて、かなり品数豊富。一瞬、ここで「釜揚げしらす丼セット」を食べるのもおもしろいかな? とも思ったけれど、いやいや、今僕はカレーが食べたいのだった。 どれどれ......と、さらにメニューを読みこむと、意外にも純粋カレーライスはなく、見つかったカレー系メニューは、合い盛りになっている「カレー&ハヤシのコンビ(サラダ・スープ・ドリンクバー付)」(税込1200円)か「カレーオムライス(スープバー付)」(990円)の2種類のみだった。まぁ、ここはカレーオムライスでしょう。 そしてまた、酒飲み的に気になるのがサイドメニューコーナーで、つまみになりそうな単品料理がずらりと並び、そのなかには「なんこつ揚げ」「ハムカツ」「もつ煮込み」なんてメニューまである。なんだ、気がねなく飲めるんじゃん、この店。とはいえ、注文したカレーオムライスはしっかりとした量がありそうだ。つまみは様子を見よう。という流れで、ビール、ワイン、サワー、日本酒など、これまた豊富なアルコールメニューのなかから、「瓶ビール 中」(680円)を、ごく自然に頼んでしまった。 さらに、カレーオムライスには「スープバー」がつくらしく、そちらのコーナーをひやかしにいくと、「本日のスープ」がなんと2種類用意されている! 「玉ねぎとベーコンのコンソメスープ」と、ねぎとわかめが入れ放題の「みそ汁」。さすが和洋レストラン。当然、両方もらって、それをつまみにカレー前の"汁飲み"を始めていこう。あ、ちなみに汁のみとは当然、汁を飲むことではなく、汁をつまみに酒を飲むことを指します。 なんてことをしていると、オムカレーも到着。最初の感想はずばり、「でかい!」。 溶け込んでしまっているのか具のゴロゴロ感はなく、見た目はサラッとしたカレーソース。そして、見るからにふわとろな玉子。なんとも気品ある一皿だ。 いざスプーンでさくりとすくい、口に運ぼうとしてちょっと驚いた。カレーオムライスというメニュー名から考えてみれば当然なんだけど、ごはんがケチャップライスだったのだ。 カレーにオムレツをのせた、いわゆる「オムカレー」ではなくて、あくまでオムライスが主役で、そこにカレーをかけ合わせたメニューだったというわけか。 うんうん、想定とはちょっと違うけれど、その違いがむしろ嬉しい。ではあらためて、いただきます! もぐもぐもぐ......おぉ、まずは玉子が、見た目どおりに幸せな味だ。 そして、その下のライス。チキンライスではなくて、具は玉ねぎオンリーのケチャップライスなんだけど、これがいい。玉ねぎがジューシーでとろりと甘く、けれども少しだけしゃきしゃき食感も残してあり、ケチャップの酸味とのバランスが絶妙。さらに、ちょっと珍しいような気がする、強めに利かせてあるにんにくの香りが食欲を加速させる。 さらにカレー。さらさらともったりの中間くらいの食感で、スパイス感、甘み、塩気がしっかりと濃く、それでいて辛さはほどよく、他のどこでも食べたことのないような美味しさ。ケネスカレー、かなり好きだ。 その幸せなハーモニーに浸りながら、ひたすらに食べすすめていると、カレー、ケチャップライス、玉子、それぞれが皿の上でどんどん混ざり合い出し、もはや自分がなにを食べているのかわからなくなってくる。ただ、混沌の美味に溺れるのみ。合間合間に挟むビールは、さながら浮き輪の役割か。 地元で昔から訪れていたスポットにも、まったく見えていなかった、こんなに素晴らしい店がある。そんな自分の未熟さを思い知らせてくれるような、いい店だった。今後、映画観賞後の定番になりそうだ。 取材・文・撮影/パリッコ
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