【カレーオムライス】地元にずっと前からあったはずなのに見えていなかったノスタルジックファミレスで、ビールと美味と空気に酔う:パリッコ『今週のハマりメシ』第143回
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。 【写真】スープバーでも一杯行けちゃう それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。 そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。 * * * ある昼下がり。我が家から最寄りの映画館「T・ジョイ SEIBU 大泉」で、娘が見たがっている「わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ♡ゲームの世界で大冒険!」の特典付き前売りムビチケを購入するというミッションを終え、腹が減っていた。 T・ジョイのある建物に入っている飲食店は、高級焼肉の「叙々苑」と「北海道らーめん 龍源」の2店。今のモードとはちょっと違う。どちらかというと、シンプルなカレー的なものが食べたい気分だ。しかし、駅前に戻るのがもどかしいほどに腹が減っている。となると、目の前の商業施設「リヴィンオズ大泉店」か。 チューブ状のエスカレーターが印象的な通称「オズ」は、練馬区大泉学園出身の僕にとって、子供時代からなじみ深い場所だ。5階が飲食店およびゲームセンターなどのフロアになっていて、することのない中高生時代など、よく友達と無駄に時間を過ごしていた。当時はもっともっと広く、もっともっとキラキラと感じていたその場所も、今訪れるとなんというか、時代遅れのいなたいデパート感がすごくて、そこにノスタルジーを感じもする。飲食店もずいぶんと減ってしまったが、それでもなんとか、4店の店が営業を続けている。 中華料理の「天津菜館」、インドカレーの「マサラ」、「とんかつ串揚 田」、そしてもう1店は......ん? 「レストラン ケネス」? あれ、前3店は把握していたけれど、最後の1店ってこんな店だったっけ? この場所には何度も来たことがあるのに、認識していなかった。けれども、いや、あったような気もする。というか、どう見ても昔ながらのローカルファミリーレストランという感じで、新しい店じゃないし。俗に言う"見えていなかった店"というやつだ。 たまらないレトロ感と、節操のない和洋折衷さが僕好みで、ここならカレーもあるに違いない。なぜ今まで、入ろうと思ったことがなかったのだろう? まるで導かれたような気分で、ケネスという不思議な響きのレストランに入店することとなった。 店内は広々としていて、ザ・ファミリーレストランという感じだが、しかし僕の知るどの有名チェーンとも違う。そこここに漂うレトロ感が好ましく、ものすごく居心地がいい。さっそくやってきたお冷とおしぼり。そのおしぼりがまた良かった。どうやらここは、そば居酒屋の「長治」という店の系列店らしい。長治とケネスが兄弟、考えれば考えるほどおもしろい。で、何気なく使ったおしぼりの使い心地が妙に良く、広げてみたら、一般的なそれの倍くらいのサイズがあった。こだわりを感じるぞ。
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