1月17日に生まれた命 ライフライン途絶えた中での出産 ”震災を知らない子どもたち”が絵本で表現 次世代への継承
1995年1月17日。悲しみに包まれた日に、神戸で新たに生まれた命がありました。 「自分が生まれた日はたくさんの人が亡くなった日。震災の記憶がない自分にはなんにもできない虚無感というか、どうしようもできないという感情になりました。自分の誕生日なんですけど、まったく喜べなくなってしまいました。」
中村翼さん、29歳。 「僕の知らなかった母親の気持ちとか。僕をいかに大事にして守ってくれたかということを知ることができて、これは自分の中で留めといてはいけないな。周りの人に自分のことを話してみようと。」 自分が生まれた時の事を、震災の語り部として伝えています。
絵画教室で「命の授業」 震災を知らない子どもたちが表現
神戸市の絵画教室「アトリエ太陽の子」の子どもたちは、毎年1月17日に祈りを捧げます。阪神淡路大震災では、教室に通っていた2人の子どもが亡くなりました。
アトリエでは“命の授業”と題して、震災を知らない子どもたちが、あの日の光景を絵に描きます。 指導をするのは。「命の授業」を20年以上続けている、アトリエ主宰・代表の中嶋洋子さん。 頭に浮かぶ姿や光景を描きながら、子どもたちは命と向き合います。
「ちっちゃい命やけど一生懸命」 中村さんの話を絵本に
おととしの冬アトリエでは、震災の日に生まれた中村翼さんの話を、絵本にする取り組みが始まりました。 子どもたちが、それぞれ描きたいシーンを思い思いに絵で表現します。
「赤ちゃんもしんどい思いをして出てきたのかもしれない。ちっちゃい命やけど、一生懸命生まれてきてる。いろんな人から教えてもらったり、自分で想像したり」 出産シーンを描いているのは、藤倉ひなたさん。幼稚園の頃からアトリエに通う、子どもたちのお姉さん的存在です。 「多くの人の力とか、多くの人に見守られて出産しているところに感動したから描きました」 教室に通い始めて2年の水上はるかさんは、絵を描くことが大好きな頑張り屋さんです。 二人とも、震災のことは知りません。