「環境は変えたほうがいい。しかし、ビッグクラブ行きは時期尚早」久保建英に現地の戦術アナリストが勧める移籍先とは…「そこで進化を示せれば、道は開けてくる」
久保建英に移籍の噂が絶えない。とりわけ日本のメディアで関連のニュースが多いのは、レアル・ソシエダ加入3年目を迎え、不動の主力として活躍し、次なるステップアップを求める期待感の表われだろう。 【動画】久保建英がMOM! ソシエダ対バルセロナ ハイライト 一方、地元一般紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』の看板記者、ミケル・レカルデ氏は、「タケ・クボが他クラブへ移籍した時に初めて、我々は彼がどれほど素晴らしい選手だったか、チームにおいていかに重要な戦力だったかを思い知らされることになるだろう」と、別れの時が近づいていることを覚悟しているかのようにその想いを綴っている。 我々日本人が期待するのは、ビッグクラブで活躍する久保の姿だが、機は熟しつつあるのか。戦術アナリストで、ビッグデータの分析を行なう『Driblab』に所属するアレハンドロ・アロージョ氏も移籍推奨派の1人だ。 「右サイドに開いてボールを受けて、ドリブル突破で相手守備陣をかき回す。足元の技術が高く、密集したゾーンでも、スムーズにボールを保持して前進する。クボは間違いなくソシエダの攻撃の中心選手のひとりだ。ただその一方でカットインからのシュート、縦突破からのクロスといった得意の型を前面に押し出しすぎている印象も受ける。もっと中央や左サイドなど様々なエリアに顔を出して、縦横無尽に動き回る姿を期待したいが、ソシエダでは完全に右ウイングとしての役割に収まっている。結果的にプレーの幅が期待していたほど広がっていない。少なくともイマノル(アルグアシル)が監督を続けている限り、ソシエダでは、クボが成長し続けられる環境を得るのは難しいかもしれない。今シーズン、ラ・リーガでは3得点と、十分な結果を残していないことも頭打ちを感じさせる」 アロージョ氏は移籍奨励派であるが、即のビッグクラブ行きに関しては否定的だ。 「クボは優秀なウイングだ。ただスケールの大きさはない。フィジカルの強さや加速力といった点は、ブカヨ・サカ、ガブリエウ・マルティネッリ、ラミネ・ヤマル、ロドリゴ、マイケル・オリーセ、ウスマンヌ・デンベレら一線級のウイングと比べれば、見劣りする。であれば、プレーの幅を広げることでカバーできればいいが、先ほども述べたようにそれがソシエダでは難しくなっている。さらに得点の少なさもネックだ。今のままではビッグクラブではローテーション要員にはなれても、レギュラーとして活躍するのは難しい」 環境は変えたほうがいい。しかし、ビッグクラブ行きは時期尚早。アロージョ氏が勧める移籍先は、その“繋ぎ”となるリーグでありクラブだ。 「ラ・リーガよりもハイテンポなサッカーが展開されるリーグで、なおかつ“中の上”にランクされるクラブが理想だろう。具体的にはプレミアリーグの中堅あたりになるだろうか。活躍できるかは分からない。でもそこで進化を示せれば、道は開けてくる」 久保は近年、フィジカルが向上し、スペイン紙『AS』のフアン・ヒメネス記者も、小兵のハンデがあることを認めつつ、「フィジカルコンタクトやスタミナが強化され、エリートクラスの仲間入りを果たした」と評価する。アロージョ氏は、その点を踏まえて、さらなる進化を遂げるために新たなステージに挑むことを提言する。久保の決断に注目だ。 文●下村正幸
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