【CREA夜ふかしマンガ大賞2024】《1位~5位》大賞に輝いたのは『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
◆2位『どくだみの花咲くころ』城戸志保
主人公は生粋の優等生で「触らぬ神に祟りなし」タイプの清水くん。かんしゃく持ちで度を越したマイペース変人である信楽くんとは距離を置いていたのですが―図工の時間に盗み見た彼の紙粘土作品に心を奪われ、隠れファンに。ひそかに信楽くんを観察し、その創作物に衝撃を受けて大まじめにどハマりしていく姿がおもしろすぎ! 信楽くんと接するうちに、まっとうでソツがないキャラのはずの清水くんのマヌケな部分がむき出しになってくるのも楽しみどころです。 まだ“友情”と呼ぶには生煮えすぎるふたりの関係性はどのように熟していくのか。予測不能な行動が展開されるこの小学生ワールドは極上のリラックス空間です。 「こんな魅力的なキャラクターを表現できる城戸先生は人生何周目なのでしょうか?」(honto コミック担当 荻野晶さん) 「『生きづらさ』系に見せかけつつなんだかずっとトボけている心地よさ」(編集者・元「このマンガがすごい!」編集長 薗部真一さん) 「小学生男子ふたりの関係性の真ん中に創作物があるという設定がエモすぎて……」(ライター・編集者 山脇麻生さん) honto コミック担当 荻野晶(おぎの・あき)さん 編集者・元「このマンガがすごい!」編集長 薗部真一(そのべ・しんいち)さん ライター・編集者 山脇麻生(やまわき・まお)さん
◆3位『環と周』よしながふみ
年齢も性別もさまざまな、人間同士の「好き」の感情をやさしく紡ぐ連作短編集。現代の夫婦、明治時代の女学生同士、独身女性と少年、復員兵の男たちに江戸時代の男女―これらの主人公の名前は全話「環」と「周」。本作はいろいろな時代に生きていた環と周の物語です。 常にそばにいるとは限らないし、激しくむさぼるような愛でもない。しかし、たったひとりの特別な相手に注がれるまなざしのかけがえのなさが深く心にしみ入ります。 この世に生まれ、大切にしたい人とめぐりあい……しかし、別れは必ず訪れる。その理を広い視野でながめ、他人と幸せな瞬間を共有するという奇跡に感謝したくなります。くり返し読むほどに味わいを増す一冊。 「人生のままならなさと、確かに存在した幸せな瞬間と。生きるということを噛みしめるような作品」(フリーアナウンサー・俳優 宇垣美里さん) 「内容や表現が凄いのはもちろん、1巻で完結する連作として怖いぐらい完璧」(ライター 門倉紫麻さん) 「一話一話が舞台を観に行ったような充実感」(マンガ司書 みさき絵美さん) フリーアナウンサー・俳優 宇垣美里(うがき・みさと)さん ライター 門倉紫麻(かどくら・しま)さん マンガ司書 みさき絵美(みさき・えみ)さん