夕暮れの砂浜で踊りの輪を広げた参加者＝珠洲市馬緤町

　珠洲市馬緤（まつなぎ）町で13日、伝統行事「砂取節（すなとりぶし）まつり」が行われ、住民や避難先から戻った人、帰省者、ボランティアらが踊りの輪を広げた。揚浜（あげはま）式製塩の苦労を歌った石川県無形民俗文化財の作業歌「砂取節（すなとりぶし）」を伝えるまつりで、参加者約400人は能登半島地震で海までの距離が3倍の約90メートルに広がった砂浜などで、ふるさと復興を誓った。 　まつりは昨年が最後となる予定だった。しかし、能登半島地震後に住民が共同で避難生活を送るうち、継続開催の機運が高まった。 　例年と異なり、今年は砂取節の歌詞通り日没に合わせてスタート。2022年に北國風雪賞を受けた馬緤町住民で砂取節保存会長の國永信一さん（92）は避難先の金沢市から、大谷町の大兼政忠男さん（76）は白山市一里野高原から駆け付け、歌い手に加わった。 　夕焼けから暗夜に移る中、奥能登国際芸術祭（北國新聞社特別協力）を縁に馬緤町と交流する東京の造形作家村尾かずこさんデザインのサザエみこしやサザエキリコを、市内で製塩作業を手伝う金沢学院大生らが「ヤッサーヤッサー」の掛け声で担いで盛り上げた。実行委員長の南方治さん（73）は「これだけの人が馬緤町を慕ってくれるのはありがたい限り」と話した。