ピエール・ガスリーと角田裕毅

　アルピーヌのピエール・ガスリーは、レッドブルのシート争いを巡り微妙な立場にいる角田裕毅（RB）について、自分の役割を果たしていればチャンスが来るはずだと語った。 【動画】レッドブルF1、20年の進化。2005年RB1と2024年RB20を雨のシルバーストンで走行比較 　レッドブルのセルジオ・ペレスが不調なことから、RBを含めレッドブル陣営のドライバーには大きなプレッシャーがかかっている。ペレスの後任としてレッドブルのシートを得る大きなチャンスが生まれるかもしれないからだ。 　現状、ペレスは予選Q1敗退を繰り返すなどマックス・フェルスタッペンと比べて活躍できていない。マクラーレンやメルセデスがフェルスタッペンと互角以上の戦いができるパフォーマンスを発揮している今、レッドブルはコンストラクターズ選手権で後手に回らないためにも、フェルスタッペンのタイトル獲得をサポートする意味でも、ペレスに代わるドライバーを試すという選択肢を選んでもおかしくない状況になりつつある。 　仮にレッドブルがシーズン途中でのドライバー交代を決断した場合、少なくとも今季中はレッドブル陣営のドライバーからペレスの後任が選ばれるだろう。 　そうなると候補はRBの角田とダニエル・リカルド、レッドブルのリザーブであるリアム・ローソンとなる。 　この中で角田は今季安定してポイントを争っており、有力候補とされて当然と言えるだけのパフォーマンスを見せているが、欧州メディアから本命に名前が挙がるのはローソンばかりだ。 　自身を差し置いてローソンが起用されるとしたらおかしいとコメントもしている角田にとっては納得いかない状況だろうが、角田にとってかつての相棒であり、自身も同じような立場に置かれた経験のあるガスリーは、今は自分の仕事に集中するべきだと語っている。 　角田へのキャリアアドバイスについて質問され、角田は難しい状況にいるのか、それともレースを続けてRBで自分を証明することが彼にとっていいことなのか、と聞かれたガスリーは次のように答えている。 「僕はそうだと考えている。競争力があれば、いつかはチャンスが巡ってくる。競争力を持つことだけに集中するべきだし、それは彼がサーキットでやっていることだ」 「人生では遅かれ早かれチャンスが与えられることがある。それが幸運なタイミングになる人もいれば、少し悪いタイミングに恵まれる人もいる」 「でも結局のところ、自分の役割をきちんと果たしていれば、いつかはチャンスが巡ってくるものなんだ。僕はそう信じている。願わくば、彼にもそうなってほしい」 　ガスリーは以前から、角田のパフォーマンスに太鼓判を押しているが、自身がレッドブルから当時のアルファタウリに降格させられたことを踏まえ、共に過小評価されていたと付け加えた。 「僕は彼と対戦したことがあるし、彼の実力を知っている。僕が彼のチームメイトだった時、レッドブルでのストーリーが終わって戻ってきた後で、みんなが僕のパフォーマンスを過小評価していたと思う。その中には、ユウキにふさわしい評価が与えられなかったという事実も含まれている」 「だから、僕はユウキがとても速いといつも言っていたんだ。僕はそれを見てきた。ここ数シーズン、彼はそれを証明してきたし、これからも証明し続けるだろう。だから当然、彼にとってはかなりフラストレーションがたまるだろう」 　ガスリーは、角田の立場が簡単なモノではないと認めつつ、今後も変わらずパフォーマンスを維持し、いつか報われることを願っていると話した。 「彼とはこのことについて話をしたんだ。僕たちは時々連絡を取り合い、会話を交わしている。彼がもっと多くのモノを望んでいること、自分にもっと価値があると感じていることを知っている」 「僕も過去に彼と同じような立場になったことがあるが、そのときに僕が思ったのは、『今やっていることを続ければいい、競争力がある限り、いつかは適切なポジションを与えられるよ』ということだった」 「それが問題なんだ。簡単なポジションではないんだ。個人的には、彼がレッドブルでチャンスを得るのを見たいが、僕はヘルムート・マルコ（レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー）ではない。だから、ヘルムートが決断するんだ。彼はアルファタウリでいい仕事をしている。来シーズン、彼が競争力のあるマシンで報われることを願っているよ」