なぜ「環境保護」は批判される? 背景にあった"日本の特殊な環境"
エコ、SDGs、サステナビリティ...どれも近年急速に普及したワードです。人々の暮らしにも異常気象の影響が出始めている今、環境問題は他人事と捨て置けないものとなりました。しかし日本のサステナビリティへの取り組みは、いまだ浸透しているとは言い難い状況です。それは何故でしょうか? 環境保全団体の職員である菊池理佳さんに、ご自身の経歴を交えてお話しいただきました。
カメルーンで気づいた自身のエゴ
そもそも菊池さんが環境保全に携わるきっかけとは何だったのでしょうか。尋ねると、10代で受けた教育の影響があったと菊池さんは回想します。 「高校までキリスト教系の学校に通っていたので、給食の前には必ずお祈りをする時間がありました。また、先生から世界の人身売買や児童婚の現状を教えてもらったことで、自分がいかに恵まれているかを知ったのです」 途上国の人々が置かれている現状に胸が痛み、「人のために何かしたい」という強い意思が芽生えたといいます。そこで、大学在学中にはJICA(国際協力機構)のインターン生としてカメルーンに飛び立ちます。 「技術支援者の立場として、カメルーンのヤウンデに飛び、現地の中小企業にカイゼン(トヨタの生産方式に含まれる1つの手法)のノウハウを共有するプロジェクトに参加しました。当時は何とかして日本の技術を教え、助けてあげたいという気持ちでいっぱいでした」 カメルーンの人々の苦しい暮らしを少しでも支援したいという思いから、プロジェクトに打ち込んだ菊池さんですが、インターン最終日に現地のカメルーン人から掛けられた言葉によって価値観が大きく変えられたといいます。 「インターンの最後に現地人から、"カメルーンから日本に持ち帰りたいと思ったものはありましたか?"と聞かれて、私は答えられませんでした。当時の私は、自分が恵まれた生活をしていると思いすぎて"助けてあげなきゃ"というエゴで頭がいっぱいになっていたんです。 人道支援は、途上国の人を助けることだと思い込んでいました。ですがカメルーンでの経験や、姉に"日本にも課題はたくさんあるんだよ"と諭されたことで、自分の認識が誤っていたことに気づきました。そこで途上国に目を向ける前に、まず日本か抱える課題から取り組もうと思ったのです」