大沢たかおさん、『キングダム』シリーズの「大将軍として生きた6年間は、紛れもなく自分の人生の一部です。」【今会いたい男】
原作も映画も大人気。『キングダム』シリーズの人気キャラ王騎に大沢たかおさんはどう挑んだのでしょうか。 【写真ギャラリーを見る】
「大将軍として生きた6年間は、 紛れもなく自分の人生の一部です。」
取材中、大沢たかおさんは雨を気にしていた。自身は晴れ男というが「せっかく取材に来てくださる方々の足元が気になって……」となんて優しい言葉。 撮影では少年のような微笑みを浮かべていた大沢さんだが、映画『キングダム 大将軍の帰還』では山のように動じず強靭な大将軍・王騎を演じている。主人公の信(山﨑賢人)に多大な影響を与える重要な役だ。 「俳優の仕事をはじめて30余年、素の自分とは違う役を演じることがおもしろさと思ってやってきました。王騎も、原作の漫画を見るとまさか僕にこの役が回ってくるとは想像できなかったのですが、できるだけ原作から抱く印象を大切にしながら演じました」 漫画に近づくべく筋肉を増量して臨んだことが話題になったが、大沢さんからは表面的な部分だけでなく内面的なスケール感が漂う。例えば、仕事で五大陸を見てきた経験が、広大な中国を統べようとする役に密度をもたらしているのではないか。
「世界の広さを知らずに生きることと、知って生きるのとでは、見えるものが違うだろうなあとは思います。多くの体験によって心に刻まれた感動や衝撃や傷がその後、何かの役を演じたときに少なからず息づいているものなのでしょうね。僕は貴重な経験を、役を通して伝えているのかもしれません」 映画では、王騎の強さばかりでなく、謎の武将・摎(きょう、新木優子)との心の琴線に触れる関係も描かれている。 「1作目を撮っているときから密かに摎のことを念頭に入れながら演じていました。なにごとにも動じない、心身ともに強靭な王騎の唯一の弱点が摎なのではないかな。人間は、愛によって強くもなれるけれど、同時に愛が綻びの原因にもなりかねない。王騎にも感情が揺らいでしまうところがあるのが人間らしくていいなと思います」 強さも繊細さも、大沢さんの魅力を堪能できる一作となっている。 「1作目から6~7年もの長い歳月、人生をかけて取り組んだといっても過言ではない大作で、集大成にふさわしい出来栄えです。キャストのみならずスタッフの熱量がスクリーンから溢れていますし、大迫力の音と映像を大きな劇場で体感してほしい。IMAGICAの試写室は轟音で揺れていましたよ(笑)」